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豚がつづる読書ブログ
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月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫) 月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)
有栖川 有栖

東京創元社 1994-07

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★★★

有栖川有栖や江神二郎は英都大学推理研究会のメンバーとともに山のキャンプ場へやってきた。
そこで居合わせた大学生の客たちと意気投合し楽しくキャンプを始めるが、メンバーの殺人や失踪が次々に起こる。
更に休火山が突然噴火し、山に閉じ込められてしまう…。
「学生アリス」シリーズ第一作。

久しぶりに再読しました。
作者の長編デビュー作なので、「本格ミステリ」への思い入れと気合が伝わってきます。
閉鎖状況下での謎解きとか、いかにも「ザ・新本格!」って感じで、読んでてこちらの背筋がぴんとなりましたね。

いつものように私には推理などはできないのですが、刻一刻と変わる状況にページをめくる指が止まりませんでした。

大仰な道具仕掛けも無いのでどちらかといえば地味な謎解きストーリーなのですが、それがかえってリアルさを醸し出しており、パズルとしての面白さと小説としてのそれがかけ離れていないのが良かったです。

青春群像劇でもあり、今読むと青臭くて気恥ずかしいモノローグもあって若書き感は否めないと思いますがなかなか面白かったです。

(2016年2月読了)
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菓子フェスの庭 (角川春樹事務所 ハルキ文庫) 菓子フェスの庭 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)
上田 早夕里

角川春樹事務所 2011-12-15

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★★★

「ラ・パティスリー」の五年後を描いた続編。
百貨店の依頼により、洋菓子の企画フェスティバルに参加することになった洋菓子店のロワゾ・ドール。
中堅パティシエとなった夏織はフェスに出す新作づくりに奮闘する日々。
そんな折、先輩パティシエの恭也が東京からひょっこり帰ってきて……。

前作以上に、プロとして身をたてていく奮闘を描いた一人の女性の成長小説という感じでしたし、同時に、不器用な男の切ない片思い小説でもありました。

菓子フェスの担当者の武藤は、大の甘いもの嫌い。
この武藤という男、とにかく無骨で不器用な奴なのです。
恋に落ちたことを自覚せず、新しい大きな仕事に誘うことによって片思い相手に関わろうとしたり。
仕事はそつなくこなすけど、ちょっと独りよがりなやり方で彼女の成長を勝手に思いやったり。
(結局は彼女の意思を尊重して身を引くわけですが・・・)

夏織の成長を描くとともに、彼の甘いもの嫌いの克服と恋のひっそりとした終わりが描かれ、武藤がかわいそうになっちゃいました。

男性よりも女性の方が恋愛と仕事の相克に悩むこともなく夢に向かってバリバリ頑張っていくのが今風です。
甘い菓子の話でしたが、甘さよりもほろ苦さが残る、切なくビターなお話でした。

(2015年12月読了)
ラ・パティスリー (ハルキ文庫) ラ・パティスリー (ハルキ文庫)
上田 早夕里

角川春樹事務所 2010-05

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★★★

洋菓子店で働く新米パティシエの夏織がいつものように早朝に出勤すると、見知らぬ男が厨房で菓子を作っていた。その店のシェフだと言い張る男は記憶喪失にかかっていた。
オーナーとの話し合いにより、一時的に店で働くようになった男に夏織は次第に惹かれていくが・・・。

SFをたくさん書いている作家さんなので、てっきりSFかミステリだと思って読んだのですが全然違いました。

最初は密室状態の店に忽然と現れた男というミステリ小説のような始まりでしたが、実際はパティシエたちの日常と苦労、洋菓子店の経営の困難さを描いたお仕事小説です。
製菓業界の内幕を克明に描いていてとても興味深かったです。

職人たちの高いこころざしや苛烈な努力には感嘆させられますが、その分、彼らの人間模様は淡々として最後まであっさりしてました。
もうちょっと人間ドラマに浸りたかったので肩すかしをくらいましたが、まあ、このくらいがリアルというものか・・・。

(2015年12月読了)
探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA) 探偵はバーにいる (ハヤカワ文庫JA)
東 直己

早川書房 1995-08

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★★

札幌のススキノで探偵兼便利屋を生業とする〈俺〉のもとに、行方不明の恋人を探して欲しい
という依頼が舞い込む。
調べていくと、その失踪した女が先頃起こったデートクラブ殺人と関係があることが分かるが・・・。

ハードボイルド小説は好きなのですが、この小説は私には合わなかったみたいです。

起こる事件も至極オーソドックスでスケールが小さく、謎を解いていく楽しみを追求するような話ではありません。
かといって魅力あるキャラクターの粋な会話の掛け合いも期待できず。

地の文がずっと〈俺〉の一人称なので、全てが平坦に進んでいくので盛り上がりに欠けます。
登場人物は多いのにキャラクターに特徴があまりないので、会話シーンでは誰が話してるのか分からなくなりました。

また、主人公の〈俺〉が28歳の若造のくせに、10代~20歳くらいの人を「子供」と呼ぶのにも違和感を感じます。
〈俺〉は北大卒であることを誇りに思っているようで、周囲のチンピラやアホな人を冷笑的に見ているのがたまらなくイヤでした。

彼が自暴自棄めいた生活を送っているのは過去に何らかの要因がありそうですが、その事情は本作では語られないので、彼の背景がよくわからなかったのも面白さを感じられない原因かもしれません。

北海道ならではの冷たい空気感やススキノの猥雑な雰囲気もいまいち伝わってこないし。

残念ですが、原 尞の劣化版という印象です。

(2014年11月読了)
ブック・ジャングル (文春文庫) ブック・ジャングル (文春文庫)
石持 浅海

文藝春秋 2013-11-08


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★★★

閉鎖することになった図書館に忍び込んだ男女5人。
突然謎のラジコンヘリに襲われ、壮絶な死闘が始まった・・・。

閉鎖空間で逃げ場のない恐怖の中、死闘を繰り広げるという話はよくあるが、
敵がラジコンヘリというのはなかなか斬新。
最初はバカバカしく感じたけど、読み進めるうちに笑いと紙一重の悲劇にぞくぞくさせられ、
展開に目が離せなくなってしまった。

終盤の青春小説的な描写に違和感を覚えたものの、中々面白かったので他の石持作品も
読みたくなりました。

(2014年11月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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