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豚がつづる読書ブログ


★★★★

活字中毒者である三浦しをんさんの書評集。


小説もありノンフィクションもあり、多彩なジャンルの本が紹介されています。

しをんさんの本に対する情熱が紙面から溢れ出ており、圧倒されます。
でも彼女の文章はちっとも押しつけがましいところはなく読みやすい上に抒情豊かなので、とても心地よいのです。
友達のお薦めを聞いているようで、どの本も面白そう。

自分の普段読まないジャンルの本や、タイトルだけでは全く手に取らないタイプの本でも、しをんさんの巧みで熱量の高い紹介文を読むと興味がそそられ、読みたい本が増えてしまいました。

今でも読みたい本が山ほどあるのに、これ以上増えたら困ります…!

(2019年12月読了)
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政と源 (集英社オレンジ文庫) 政と源 (集英社オレンジ文庫)
三浦しをん

集英社 2017-06-27

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★★★

荒川と隅田川に挟まれた中州のような墨田区Y町に住む政と源。
銀行員を定年退職した堅物の国政と、つまみ簪職人のいい加減男・源二郎は同じ73歳。
正反対の性格をした二人はどういうわけか離れずにこの年までつき合ってきた。
下町を舞台に繰り広げられる、二人を中心とした人情物語。

政と源の掛け合いが面白く、テンポの良い文章であっという間に読了しました。
予定調和な展開にちょっと物足りなさも感じましたが、老いの孤独や人生の悲哀も描かれていてホロリとさせられます。

奥さんに家出された国政は一人寂しく暮らしていますが、源二郎は通いの弟子の徹平とにぎやかに暮らしています。
源二郎の賑やかな生活を嫉妬し僻む国政ですが、何歳になってもそういう感情は無くならないというのがリアルで人間らしいと思いました。
彼が妻にちゃんと向き合った時には、もう遅く取り返しがつかないのが切ない。
所詮、生きていくのも死んでいくのも一人だと感じさせてくれましたが、だからこそ一時でも悲しみも嬉しさも分かち合うことの尊さを教えてくれます。

何も言わなくても同じ空間で過ごしてくれる友達がいて羨ましい。素敵な二人のお話でした。

(2018年1月読了)
神去なあなあ夜話神去なあなあ夜話
三浦 しをん

徳間書店 2012-11-28

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★★★

「神去なあなあ日常」の続編。
携帯の電波も通じない山奥の村に放りこまれた都会の若者がしぶしぶ林業に従事し、いつのまにか夢中になって成長していくお話。

今回はかなりライトなノリなので、前作以上に読みやすかったです。
神去村の四季折々の行事にからめつつ、村の風習や起源、主人公の恋愛模様が描かれています。

どの登場人物も生き生きしててキャラが立っていて、読んでいて楽しい。
下世話なエピソードに笑ったり、ヨキたちの過去や未来を見すえた仕事の取り組みに神妙な気持ちになったり、シリーズならではのお話の膨らみを満喫しました。

なあなあに生きたいものですね・・・。

(2013年5月読了)

舟を編む舟を編む
三浦 しをん

光文社 2011-09-17
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★★★

途方もなく地味な作業を経てできあがる辞書。
言葉に魅入られ、辞書編纂に心血を注ぐ人々の物語。

印象的なタイトルは、言葉の海へ漕ぎ出すための「舟を編む」ということから。
誰もが一度は手に取る辞書が、こんなにも手間がかかっていたとは驚いた。
あまり意識したことなかった辞書を、改めてじっくり読みたくなってくる。

個性豊かな辞書編集部の面々の掛け合いも楽しい。
言葉の持つ力を信じ、静かに闘う人々の迸る情熱に圧倒され、胸が熱くなる。

でも、すらすら読めるけど少し浅いという印象を受けた。
人物描写やテーマへの踏み込みが浅く、いまひとつ目配りが行き届いていない感じがする。

(2012年1月読了)

★★★★

津波という不可抗力に全てを奪われた者たち。
彼らが安寧を求めた先には、何が待っているのか―。

安易な感情移入を拒む登場人物たちの辿り着く結末が読み進めてゆくうちに薄々と見えてきて、祈りにも似た気持ちで、かたずを飲んで見守ってしまう。

圧倒的な暴力にさらされた人間のあいだに横たわる圧倒的な絶望に、読んでいるこちらの気持ちもざわついた。
死の意味も生の意味もわからなくなった者には、愛にすがることも許されないのだろうか。
虐待を受けて育った輔の、愛する者への帰依と執着が、切なく救いがなくて泣けた。

いつもの作風と全く違う雰囲気のお話で、全体的に背伸びをしている印象だったけど、いろいろ考えさせられた。

(2009年5月読了)

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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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