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豚がつづる読書ブログ
営繕かるかや怪異譚 営繕かるかや怪異譚
小野 不由美

KADOKAWA/角川書店 2014-12-01

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★★★

疎遠だった叔母から古い町屋を相続した祥子。
不自然に封じられた奥座敷の襖は何度閉めても、いつの間にか開いている。
奥座敷から出ようともがく「何か」がいる――。
住居にまつわる怪異や障りを営繕屋の尾端が鮮やかに修繕する、全6篇の短編集。

古い家で起こるさまざまな怪異を描いたホラーですが、血なまぐさいおどろおどろしさは無いので怖いのが苦手な方も大丈夫。

どのお話にも出てくる日本家屋の薄暗い闇にひそむ「何か」には不安をかきたてられますが、怖ろしげな描写は抑えめで、肩すかしをくらうくらいあっさりとした感じ。

最初はさっぱりとしすぎていて物足りなさを感じてしまったのですが、 そのくどさのない静謐さに惹かれました。

歴史のある古い家には澱が溜まり、やがては何かが住み着いてしまう。
それは避けられないことなので、排除することなく怪異と人間のお互いの領域を侵さず住み分けて共存していこうとする・・・そんな姿勢が、リアリティがあって面白かったです。

以前の作品の「ゴーストハント」のように怪異を退治するのではなく、霊能者ではないただの営繕屋が解決に導いてくれるのが、また良いです。

読後にふわっとした優しい気持ちになれる、極上のお話でした。

(2015年2月読了)
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残穢 残穢
小野 不由美

新潮社 2012-07-20


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★★★

あるホラー系作家が読者から届いた「怖い話」に興味を持ち、読者に連絡を取り、怪異について調べ始める。
賃貸マンションの一室で聞こえるかすかな物音と気配、いるはずのない赤ん坊の泣き声。
さらに調べを進めるうち、土地をめぐる“ある因縁”が浮かび上がる。

主人公は作者の小野不由美さんらしき人物。
綾辻さんっぽい夫や実名のホラー作家も登場し、そのドキュメンタリーのようなスタイルが独特のリアリティを演出し、まるで本当にあった事件のような錯覚に陥ります。

誰にでも遭遇する可能性のある、土地についての因縁が描かれるので、この本の内容が自分と同じ地続きに存在し、無関係ではない(かもしれない)というのが凄~く怖かった。

ミステリ的な手さばきで怪異を調査する、その淡々とした描写が読む人間を震え上がらせてくれる、本当に怖いお話でした。

(2012年11月読了)
鬼談百景 (幽BOOKS) 鬼談百景 (幽BOOKS)
小野不由美

メディアファクトリー 2012-07-20


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★★★

ああ怖かった…。

一話1~3ページほどの怪談を集めた短編集。
実話をベースにしているせいか、作為なく淡々と描かれているので、逆に恐怖を煽られました。
怖すぎるので家で夜に読めず、電車の中で全部読みました。

「百景」なのに、読後に数えたら99篇だったのが一番ぞっとしたかも…。

(2012年10月読了)

ゴーストハント 7 扉を開けて (幽BOOKS) ゴーストハント 7 扉を開けて (幽BOOKS)
小野不由美 いなだ詩穂

メディアファクトリー 2011-11-18
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★★★★★5つ!

ゴーストハントシリーズ最終巻。
能登からの帰途についたSPR一行は、道に迷ってダム湖畔のキャンプ場にたどりついてしまう。
突然ナルはSPR閉鎖を宣言、別行動を始め、麻衣達は困惑する。
一行はそこでさらなる依頼を受け、廃校になった小学校の調査依頼を始めるが…。
「…やっと、見つけた…」――ついに明かされるナルの正体とは。

シリーズを貫く謎がとうとう解決。

まず、前半部分の校舎での調査は、ホラーの体裁を取りながら卓抜なミステリとなっています。
8個のカップを使った精巧な謎解きが素晴らしい。
説得による浄霊という方法をシリーズの最後に持ってきたのも、しみじみ意味深いと思いました。

そして後半、色々と謎が多かったナルの正体が判明する。
6巻までの折り重なってきた伏線が終焉に向って収斂していくのが、鳥肌ものでした。
用意された解答に唸らされ、また、実は切ない恋の物語であったことが判り、心を打たれるのです。

個人的にホラーは苦手なのですが、主人公の麻衣のキャラクターに救われて最後の巻まで読むことができました。
麻衣はその生い立ちのせいか、悩むよりも先に前に進んでいこうとする人なので、彼女の仲間を失いたくないという力強く真摯な気持ちがしんしんと読み手に伝わってきて、自然と感情移入してしまいます。
麻衣の気持ちに寄り添って、泣いたり笑ったりできたシリーズでした。

もう続きは書かれることはないかと思うと、ほんと残念。 

(2012年1月読了)
★★★★

シリーズ第六弾。
SPR一行は、能登半島にある会員制料亭で代替わりの際に必ず変事が起きるという呪いに挑む。

ナル不在のなかでの調査、綾子の活躍など、今回も見どころが盛りだくさん。

仲間たちの人間関係もこなれてきてテンポよく進むし、女子高生言葉が少なかったのですごく読みやすかったです。
謎めいたナルの正体も少しずつ明らかになってきて、次の最終巻に繋がる重要な巻でした。

(2011年11月読了)
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sis
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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