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豚がつづる読書ブログ

★★★

いい意味で生々しく、湿度の高い恋の短編集。
中年の女性が抱える落としどころのない感情や、日常の隙間に埋もれがちな違和感を丁寧にすくい取っている。

抑制された文体の中に心の澱が抽出される、滋味あふれた佳作でした。

印象に残った言葉。
『六十だったら、最後と思って心おきなく恋に走るでしょ。四十のころは、これまた今が最後と思って恋に走ったでしょ。でも、五十になると、四十が最後じゃなかったこともわかるし、かといってほんとの最後まではまだまだ届かないこともわかるし、さ』

(2009年6月読了)

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★★★

ゆるゆるエッセイ。
「尾籠な話ですが」と言うタイミングをはかったり、夏休みがおわるのはいやだー、という小学生の遠吠えを聞いたり。

日常のふとした隙間から覗く不思議を見逃さず、虚と実のあわいにふわふわ浮かぶ感じがとても心地よい。

(2009年6月読了)
★★★★

真鶴は何度か訪れたことがありますが、この小説のかもす雰囲気と、近いような遠いような・・・。

幻想とうつつのあわい、生と死の境をさまよう主人公の不安定さが伝染して、自分の輪郭まで危うくなるような感じです。

母娘の近くて遠い関係性も、言葉にされると腑に落ちる気がします。

濃厚な曖昧さがあとを引きました。

(2007年5月読了)
★★★★

店主の女にだらしない中野さん、アルバイトの不器用で頑固なタケオと、主人公のヒトミ。
中野さんのお姉さんで売れない「ゲイジュツカ」のマサヨさん。

「性欲がなくなってからの恋愛の抜きさしならない感じ」を日々楽しんでいるマサヨさん、「銀行へ行く」といってはコマメに浮気している中野さん。いい味出してる。

大きな事件は起こらないが、些細なことが波紋が広がり、少しずつ登場人物に変化をもたらしていく。
ぎこちなくずれていく物語に身を任せてページを繰っていると、終わるのがもったいないくらい。

ほんわかしてる中にも、死やセックスの生臭さが濃厚でリアル。

ラストも地味だけど暖かい気持ちになれた。

(2006年6月読了)
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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