「第二音楽室」佐藤多佳子

★★★★

学校の音楽室を舞台にした短編集。
主人公はそれぞれ異なるけど、どのお話も学校で音楽を合奏するストーリー。

多感な年ごろの女の子たちが人間関係に悩みながらも、共に音を奏でることによってつながってゆく。

周囲から浮いているような居心地の悪さとか。
いろんなことを意識しすぎて、柔らかい気持ちを疎かにしてしまったりとか。
大人となった今では取るに足らない悩みでも、それはその時代の自分の全てだったり。

じわじわと、自分自身の学生時代の様々なシーンやぐじゃぐじゃだった気持ちが鮮やかに蘇る。
読んだ後の夜は中学時代のリアルな夢を見てしまい、久しぶりに身悶えしてしまいました。

（2011年5月読了）

「一瞬の風になれ 第二部」佐藤 多佳子

★★★★

着実に成長していく新二や連、春高陸上部の面々。
こんな素直でいい奴ばかりの高校生なんかいない、と思いつつまぶしくて引き込まれた。

「俺さ、おまえとかけっこしたくて、この部に入ったんだよ」
という連の愛の告白ばりの言葉。言われてみたい。
かけっこって言葉がいいですね。

守屋先輩や健一兄ちゃんのエピソードもぐっとくる。

リレーでいう中間走者の第二巻。
どんなふうにラストの第三巻につなげていくのか。続きが気になる。

（2007年1月読了）

「一瞬の風になれ 第一部」佐藤 多佳子

★★★★★5つ！

大会の時のぬけるような青空、全身にうける風、前の背中が遠くなっていく焦り、走り終わった後の気持ちよさ。

リアルな描写に自分の陸上部時代を思い出して目頭が熱くなった。

これからの二人の成長を読み進めていくのが楽しみ。

読んだあと、また走りたくなった！

（2006年12月読了）