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豚がつづる読書ブログ


★★★

両親を殺人事件によって亡くした天野直人と七海の兄妹は、偶然、犯人が存在し得ない殺人事件の場に居合わせる。

兄妹はこの不可能犯罪を見事に解き明かすが、鮮やかに事件を解決してしまったために、諜報機関からその身を狙われることになってしまう。
名探偵の遺伝子を持つ者は機関から追われ、その問題解決能力を悪用されるのだという…。

可愛らしいイラストの表紙からは想像もできない、壮大な設定と激しいアクションシーンが意外過ぎるお話でした。

名探偵の遺伝子を持つ者は、その問題解決能力から、世界経済の鍵を握る存在として国際的な争奪戦が行われている。
機関は名探偵をあぶりだす為に不可能犯罪を仕掛け、それに対抗して直人たちは自ら事件解決に臨む…という凝った設定とシチュエーションが面白かったです。

ただ、そんな壮大な設定の割には描かれる事件のトリックは地味で小粒なので、そこはちょっと物足りなく感じました。

クールな御曹司やら、メイド兼ボディーガードやら、緘黙症の天才少女やら、キャラクターが立っているのでサクサク読めます。
ラノベっぽいのでこれぐらい嘘くさい話でも何となく納得できちゃいます。

(2019年12月読了)
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モモンガの件はおまかせを (文春文庫) モモンガの件はおまかせを (文春文庫)
似鳥 鶏

文藝春秋 2017-05-10

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★★★★

楓ヶ丘動物園シリーズ第4弾。シリーズ初の短編集。
体重50キロ以上の謎の大型生物が山の集落に出現。その「怪物」を閉じ込めたはずの廃屋はもぬけの空だった―。

楓ヶ丘動物園の飼育員たちが動物に関係する事件を解き明かすシリーズ。

和気あいあいとした飼育員たちの会話に和むとともに、骨太な社会派テーマも織り込まれており読み応えがあります。

利益のためには動物の命を粗雑に扱う悪質なペットショップ・ブリーダー・処理業者によるペットビジネスについて考えさせられました。
こういうビジネスが成り立つのは、ただ可愛い・流行っているというだけでペットを気軽に飼う消費者の需要があるからなんですね。

生き物を飼うことによって伴う責任についてもっと考えるべきだし、自分自身、ペットを飼ったことが無いので無知だったなーと思い知らされました。

また、ミステリの謎解きも本格的で、こちらの方面も読みごたえがありました。
最後の短編、「怪物」の密室からの消失という謎にはわくわくしました!

動物という不確定要素によって偶然から成るトリックミステリの醍醐味を味わいたい方も楽しめます。
解決の手順に工夫が凝らされているのが見事です。

(2017年7月読了)
家庭用事件 (創元推理文庫) 家庭用事件 (創元推理文庫)
似鳥 鶏

東京創元社 2016-04-28

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★★★


市立高校シリーズ第6弾。
映研とパソ研の間で起こった柳瀬さんの取り合い、葉山君の自宅で起こった怪事件、葉山君の妹の友人が遭遇した不可解なひったくり事件などを描いた五編の短編集。

今回から表紙のイラストレーターさんが変更になりました。
わたしは前の表紙のほうが好みだったのでちょっと残念です。
アニメっぽいイラストになったのでラノベっぽくて手に取りにくい・・・。
そのうちアニメ化するという布石なんでしょうかね。

表紙はともかく、中身は小粒ながらもしっかりとしたミステリです。
手際よく推理を進めていくテンポの良さが心地よく、いつまでも読んでいたいと思わせてくれます。
謎についてはほろ苦い後味が残るものが多く、人間のちょっとした悪意というものが空恐ろしくなる。
それを上回る葉山君の「優しさ」については、今作で明らかになった家庭環境からもたらされたものなのだなあと…シリーズ全体の伏線にびっくりしました。

(2016年11月読了)
迷いアルパカ拾いました (文春文庫) 迷いアルパカ拾いました (文春文庫)
似鳥 鶏

文藝春秋 2014-07-10

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★★★

楓ヶ丘動物園の桃本は仕事帰りになぜかアルパカに遭遇、保護したが飼い主が名乗り出て来ない。
一方、七森さんの友人が失踪していることが判明し、さらには各地の動物園への侵入者が相次いで現れる。
桃本は同僚たちと事件の解決に乗り出すが…。

楓ヶ丘動物園シリーズ。
3作目ということもあっておなじみの個性的なメンバーのキャラもすっかり定着。
今回も服部君のフルスロットルな変態紳士ぶりを楽しみながら、安心して読み進めました。

しかし、飼育員たちののほほんとした会話やマイペースな雰囲気に騙されがちですが、扱う事案は案外ヘビー。
動物園の直面する重たい現実に、やりきれなさを感じました。

軽快でユーモアあふれる語り口ながらも、動物を取り巻く社会的な状況や現場の大変さを読者に伝えてくれる、なかなか得難いシリーズです。

(2015年2月読了)
昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫) 昨日まで不思議の校舎 (創元推理文庫)
似鳥 鶏

東京創元社 2013-04-26

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★★★

葉山君シリーズ五作目。
葉山の通う市立高校で、「学校七不思議」になぞらえた事件が次々と校内で起きる。
例によって事件に巻き込まれた葉山と友人たちは共に捜査に乗り出すが、一向に解決の糸口は見えず、卒業生の伊神さんを頼るが、意外な真相が明らかになる―。

細かい事件がいくつかあり、ちょっと要素が多すぎるかなという気はするのですが、手堅くまとまってます。
第一作からの謎が解決されるという怒涛の集大成となった今作はシリーズ一区切りって感じですね。

日常ミステリだけでなく、発展途上な主人公の成長物語というところにも本シリーズの楽しみがあるわけですが、主人公以外の面々の成長も窺えて感慨深いです。

葉山君とミノは事件にも変に慣れちゃってしっかりしてきた気がするし、伊神さんも事件当事者や葉山君に対しての配慮を見せてくれるようになったし。
何より、葉山君がヒロインに対しての思いを今作ではっきりさせてくれたのが親戚の子が成長したような感じで嬉しかったです。

シリーズに区切りがついただけでこれで完結じゃないそうなので、次のステージが楽しみです。

(2014年10月読了)
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sis
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非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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