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豚がつづる読書ブログ
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★★★

真夏の山荘に集められた曰くありげな人々。降霊会を行った夜、殺人事件が起こる――。

次々と起こる不可解な出来事と、昔の誘拐事件と失踪事件が絡み合っていく。
怪しげな動きをする登場人物や、おどろおどろしいいかにも何かが起こりそうな展開にワクワクしながら読み進めましたが、合理的な謎解きミステリと思いきや、途中からのホラーやオカルト展開に頭の中が?だらけとなり…

これはこれで面白かったのですが、もう少し納得感のある結末を期待していたので肩すかしを食らった気分になりました。

(2023年5月読了)
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★★★

昭和初期、豪華客船「箱根丸」を舞台に次々と起こる事件を描いたオムニバス形式の短編集。


横浜から倫敦までの長い船旅中、殺人事件や令嬢の逃亡騒ぎや密航騒ぎなど、個性的な乗客たちが起こす魅力的な事件はそれぞれ趣向が凝らされていて、まったく退屈しません。

少し不思議で奇妙な話もあれば後味の悪い話もあり、ロジックできちんと解決される話もあり…。
ひとつひとつの密度の濃い謎もさることながら、全編を通した仕掛けもあり、豪華な気分にさせてくれます。

自分も旅をしているかのような、昭和初期のゆったりとした旅情ムードに浸りつつ、サスペンスフルな気持ちも味わわせてくれるという、なんともお得感あふれる短編集でした。

(2019年6月読了)


★★★

人間より猫の方が多い猫の楽園・通称「猫島」の海岸で、ナイフの突き立った猫のはく製が見つかる。

さらに、マリンバイクで海を暴走する男が、崖から落ちた男と衝突して死ぬという事件が起こる。
猫アレルギーの警部補が辿り着いた真相とは?

葉崎市シリーズのミステリ長編作。

殺人や麻薬事件等、起こる事件は不穏そのものだけども、猫が随所に現れるせいなのか、
のどかでとぼけた雰囲気を醸し出しています。

出てくるどのキャラクターも一癖あり、人間味あふれていて何だか憎めません。
皆、まるきりの善人というわけでもないし悪人なわけでもない。
でもちょっとズレていて、奇妙な事件が起こっているのに緊張感に欠けるところが笑えます。

干潮時には本土と陸続きになるが生活するのに不便な離島の暮らしが淡々と語られ、
大変だなあと思うものの、この雰囲気のおかげで猫に癒されながらスルスル読めちゃいます。

ただ、フックが無さ過ぎて中盤は少し単調に感じてしまいました。

散りばめられた伏線がラストに向かうにつれてきちんと回収され、小粒ですがミステリとしても申し分ない作品です。

一点だけわざと解決されない謎があるんですが、これが気になって気になって…二人の間に何があったんだ~。
(本筋の事件には関係のない可愛らしい謎なので、解決しない方が味があるのですが…)

(2019年3月読了)
ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫) ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫)
若竹 七海

東京創元社 1996-12-21

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★★★★

勤務先の社内報の編集長をまかされたOLの若竹七海は、掲載する小説の執筆を学生時代の先輩に依頼した。
先輩は匿名作家を紹介してくれ、12の短編小説を1年間連載することになった。
1年後、若竹七海は匿名作家にある推理をもって対面するが・・・。

社内誌の連載という形式の、凝った連作短編集。
各短編は”ぼく”という語り手が謎を解いていくというミステリで、どのお話も趣向を凝らしてあり、バラエティに富んだものになっています。
叙述トリックや密室もの、伝奇小説風の小説もあり、サービス精神旺盛に読み手を楽しませてくれ、最後まで飽きさせません。

ひとつのピースとして完結している短編が12編集まると、それがまた大きなひとつのパズルとなり、やがて隠された真相が浮かび上がってくるというアクロバティックな手法が見事に成功しています。

一つの話の中に遊び心が効いていて粋な面もあれば、清も濁もある人の陰影をあぶり出すという奥行きもあり。
複雑な余韻がボディブローのように作用し、癖になりそうです。

リアリティと謎解きのバランスが絶妙で、中々出会えない稀有な作品だと思いました。

(2018年5月読了)
死んでも治らない~大道寺圭の事件簿~ (光文社文庫) 死んでも治らない~大道寺圭の事件簿~ (光文社文庫)
若竹 七海

光文社 2005-01-20

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★★★★

元警官の大道寺圭は、退職後に犯罪者のまぬけなエピソードをつづった本「死んでも治らない」を発表した。
ところが、それがきっかけでまぬけな犯罪者たちにつきまとわれることになり・・・。

現在作家の大道寺圭の活躍を描いた5つの独立した短編の間に、彼が刑事として最後に関わった事件の記録が差しはさまれ、2つのパートが交互に綴られていくという構成になっています。
ラストまで読むとこの2つのパートが密接なつながりを持つことが明らかになり、施された趣向にハッとさせられます。

軽いコミカルなタッチや三枚目で憎めない大道寺のキャラのおかげでのんきな気持ちで読み進めていくと、人間の底知れぬ「悪」との遭遇にギョッとさせられ、毒まんじゅうを知らぬ間にたくさん食べたような気持になりました。

仕掛けた謎の設定と物語の切れ味のうまさには脱帽ものです。
やっぱやめられないな~、若竹七海さんは‼


(2018年4月読了)
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sis
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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