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豚がつづる読書ブログ
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クール・キャンデー (祥伝社文庫) クール・キャンデー (祥伝社文庫)
若竹 七海

祥伝社 2000-10-01

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★★★★

誕生日と夏休みの初日を明日に控えた中学生の渚は胸を弾ませていたが、思いがけない事件が起こる。

ストーカー被害に遭った兄嫁が死に、さらにそのストーカーも変死したのだ。
警察が兄を殺人犯と疑っていると知り、渚は家族の無実を証明するため奔走する。
果たして、殺人事件の真相は…。

主人公の渚の一人称で中学生らしい日常が描かれ、青春小説のようなテイストで物語は進んでいきます。
同級生の男の子との淡い恋や、複雑な家庭で育った彼女の屈託も可愛らしいなあと思いつつ、軽いノリでさくさく読めちゃいます。
生意気でどこか冷めている渚ですが、家族の疑惑を晴らすために奮闘する様はとても一生懸命で心打たれました。
憎めないキャラで、友達になりたいなあと思わせてくれます。

終盤、伏線が回収されていき、まさかまさかの結末…。
ラストにはびっくりさせられた人も多いんじゃなかろうか。
薄々予想はしていたものの、横からいきなり刺されたかのような衝撃。
ラストの一文のために書かれた小説といっても過言ではありません。

最後までたくらみに満ちた作品。
夏の終わりに読んだのですが、けだるい暑さから一気に氷点下の気分を味わえるという、夏ぴったりのお話でした。

(2017年8月読了)
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古書店アゼリアの死体 (光文社文庫) 古書店アゼリアの死体 (光文社文庫)
若竹 七海

光文社 2003-09-01

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★★★

次々と不幸な目にばかり遭ってしまう真琴は、辿り着いた葉崎市の海岸で溺死体の第一発見者になってしまう。
運良く古書店アゼリアの店番の職にありついた真琴だが、そこでも新たな死体が。
事件の陰には葉崎氏の名門・前田家にまつわる秘密があった…。

「ヴィラ・マグノリアの殺人」に続く、葉崎市を舞台にしたコージーミステリ。
前作で登場した人物が少し出てきますが、独立したお話なので前作を読んでいなくても問題ありません。

地方の資産家の親族同士の愛憎劇の上、トゥーマッチな登場人物たちがわんさか出てきて、ちょっとテレビの二時間サスペンスみたい…と思いきや、終盤のどんでん返しの見事さに感嘆させられました。

軽妙洒脱な会話と細かいエピソードの積み重ねが後で効いてきて、見事に最後に収束させる手腕が巧み。
前作よりも完成度が高く、伏線回収が綺麗です。

ブラックすぎる皮肉な結末が若竹さんらしくて、読んでてゾクゾクしました。
こういうゾッとする感じが大好きなので、若竹さんの本を読むのがやめられないんですよ~

(2017年7月読了)
ヴィラ・マグノリアの殺人 (光文社文庫) ヴィラ・マグノリアの殺人 (光文社文庫)
若竹 七海

光文社 2002-09-10

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★★★

海を望む斜面に建てられた、十戸の建売住宅・ヴィラ・マグノリア。
素晴らしい景観やおしゃれでしっかりした造りにも関わらず、余りの交通の便の悪さのため住人が頻繁に入れ替わり、クセの強い人しか住み着いていない。
ある日、空き家だった密室状態の三号棟で身元不明の男性死体が発見され、住人たちは大騒ぎ。
住人たちのトラブルや内部事情が徐々に明らかになり、その上第二の事件まで発生し…。

葉崎市を舞台にしたシリーズの1作目。

平和で閑静な住宅街で起こる殺人事件、一癖も二癖もある住人達の世間話を交えた詮索。
何だか二時間サスペンスドラマを見ているような読み心地でしたが、若竹さんのいつものピリ辛の毒もちゃんと入っており、最後まで気の抜けないストーリー進行に予定調和的な安心感を覚えつつ読了。

表面的には仲の良い住人たちの隠し事にはドキッとさせられましたが、人間だれしも裏の面を持っていると思えば、さもありなんだよなあ、とリアルな人間模様にも読み応えがありました。

(2017年4月読了)
製造迷夢: 〈新装版〉 (徳間文庫) 製造迷夢: 〈新装版〉 (徳間文庫)
若竹 七海

徳間書店 2014-01-08

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★★★

刑事の一条風太は、とある事件をきっかけに、モノに残っている残留思念を読むことができる井伏美潮と出会う。
超能力の類を信じない一条は最初のうちは反発するものの、徐々に心を開き、二人は数々の事件の謎をといてゆく。

連作短編集ですが、どの章も法で裁けない罪や、事件が解決したからと言って単純に収束しない幕切れが描かれ、後味の悪さが目立ちました。

不安を煽る物語の盛り上げが上手く、何の変哲もない日常の風景さえも作者の筆致にかかれば言い知れぬ不安を覚える風景へと一変するようでした。

美潮の超能力も、事件を解く手段というよりも、能力によって他人とわかりあえない苦悩や事件を予測できるわけではない不完全さが強調されているのですが、その上で前向きに生きようとする彼女の強い意思が心強かったです。

法律も及ばない、人間の悪意を罰することができないのか、それに対抗するにはどうしたらいいのか、考えさせられました。

(2017年3月読了)
御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫) 御子柴くんの甘味と捜査 (中公文庫)
若竹 七海

中央公論新社 2014-06-21

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★★★

長野県警から東京の警視庁へ出向した御子柴刑事。
長野と東京の上司や同僚に地元スイーツをそれぞれ要求され、両者の調整のために四苦八苦しながら贈答に励む日々。
東京と長野で起きた事件を、元上司の小林警部補に助けられながら解決していく。

短編集『プレゼント』で登場した御子柴刑事が主人公で、小林警部補が脇役の短編ミステリ。

取り組む事件は尊属殺人だったり恨みゆえの犯行だったりして結構ヘビーなのですが、出てくる長野銘菓がどれも美味しそうで、読みながらヨダレが出てきました。
お菓子は事件に関係ないのですが、気分がほっこりするいいアクセントとなっています。

御子柴刑事は最初は頼りない印象でしたが、出向で苦労しているせいかだんだん頼もしくなってきて成長度合が楽しめました。

私も出向経験があるので、それぞれ出向先と出向元に気を使う大変さがよくわかります!
御子柴刑事はすごく頑張っていると思うので、応援したいです。

続編があったらまた読みたいと思います。

(2017年2月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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