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豚がつづる読書ブログ
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鸚鵡楼の惨劇 (小学館文庫) 鸚鵡楼の惨劇 (小学館文庫)
真梨 幸子

小学館 2015-07-07

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★★★

西新宿、十二社。惨殺事件の現場となった料亭・鸚鵡楼の跡地に建つ高級マンション。
その地に未だ漂う忌まわしい記憶が新たな惨劇を呼び寄せる…。

安定の真梨節に、安心と嫌な気持ちが輻輳しながら読了。

桐野夏生とも湊かなえとも少し違う、同じ集団に属する女性同士の馴れ合いや嫉妬を性に絡めてねぶるように執拗に抽出するような、独特の薄っぺらいイヤミスぶりが癖になります。

この作品では読み手を悪夢に陥れる手練手管がいっそう板につき、ベテランの風格を漂わせていました。

ただ、情報の見せ方やどんでん返しがワンパターンなので過去の作品を何作か読むと、犯人やミスリードさせたい部分がなんとなくわかってしまうのが惜しい気がしました。

幻想と現実のコントラストにはっとさせられるシーンもあり、特別な驚きはないものの小奇麗にまとまった作品だと思いました。


(2015年11月読了)

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孤虫症 (講談社文庫) 孤虫症 (講談社文庫)
真梨 幸子

講談社 2008-10-15

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★★★

恵まれた環境にある専業主婦の麻美は週に三度、夫以外の男と身体を重ねていた。
しかし彼女と関係を持っていた男が謎の奇病で次々と死亡していく。
自分の体にも異変を感じた彼女は性病に関する本を読み、虫にとりつかれる幻想に侵されていくが…。

真梨幸子さんのデビュー作。
デビュー作には作者の全てがつまっているといいますが、正に、この作品は荒削りながらも真梨さんの原点。
そのせいか、生理的に人を嫌悪させるえぐさが凝縮されていて時折り喉の奥からこみあげてくるえずきを抑えるのに苦労しました。

女性同士ならではのマウンティングや嫉妬と羨望が増幅する人間模様によって引き起こされるおぞましい犯罪など、後年の作品にも脈々と息づく要素が盛り込まれ、節操ない欲望がうずまく猿芝居のオンパレードに窒息すること請け合い。

しかし、まだ物語の進行にばらつきがあり、謎を回収するので精いっぱいの最後の駆け足っぷりのおかげで失速感が目立ってしまった印象でした。

まあ、ストーリーテリングは今後期待ということで・・・、
真梨さんは最初からこんな作風だったんだなあと独特の世界にひたることができたので有意義な読書時間を過ごせました。


(2015年7月読了)
インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (徳間文庫) インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実 (徳間文庫)
真梨幸子

徳間書店 2012-11-02

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★★★

男女5人を凄絶なリンチの果てに殺して無罪となった男・下田健太。
雑誌のインタビューに応じるという男の母親は、実は生き残ったフジコを引き取った叔母・茂子だった。

「殺人鬼フジコの衝動」の続編。

前作では解かれなかった謎がいろいろ明らかとなってます。
独立した作品というよりも、前作を裏側から逆照射するような、補完的なお話といった感じ。

終始追い詰められているかのようなねちねちとした文章には嫌悪感を覚えつつも、早く続きが知りたくて、ページをめくる手が止まりませんでした。

北九州連続監禁殺人事件作品のモチーフにしているみたいですが、歪んだ狂気や支配と被支配の関係性についての掘り下げがあまりなされず、あっさりとした印象です。
洗脳下に置かれて、逃げられない状態に陥ってしまうまでの詳しい過程や心理にはあまり触れられていないので、下田親子はフジコほどの存在感が感じられませんでした。

社会の常識とは全く別の行動論理を持った人としてはフジコも下田親子も一緒なのですが、フジコとは違って下田親子は殺人に至るまでの背景が描かれないんですねー。
生まれながらのサイコパスって感じで、フジコほどの愛嬌や親しみ(?)を感じられませんでした。

ラストも・・・予定調和だけど、面白かったです。

(2015年2月読了)
殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) 殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)
真梨幸子

徳間書店 2011-05-07

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★★★

一家惨殺事件で、ただひとり生き残ったフジコ。
叔母に引き取られ転校することになったフジコはその後も暴力やいじめの標的となり、その心を歪ませていく。
やがて衝動的に最初の殺人に手を染めてしまい、彼女は自らの欲望のために、邪魔な人間を次々と殺していく。

針が振り切れちゃってるかのように短絡的に殺人を重ねていくサイコパスのフジコの様子に魅入られ、あっという間に読み終えました。
目を覆いたくなるおぞましい描写の数々も、突き抜けると喜劇となってしまうんですね。
殺人描写も凄惨すぎて、笑いが込み上げて来ます。

誰もが、自身の幸福を阻害するものとは折り合いをつけながら生きていると思いますが、歪んだフジコにはそんな常識は通用しない。 

幸福追求という、目的は人並みなのにその手段が常軌を逸している彼女の行動論理には全く共感できず、終始イヤ~な感じでした。

でも、決して楽しい読書時間ではなかったのですが、妙に心に残るものがありました。
共感を徹底的に拒む「悪」のキャラクターを描くことで、より深いところで人間の本質の輪郭を捉える事ができるような気がします。

また、最終的にはどんでん返しというミステリとしての仕掛けも施されているのですが、あまり作用されていない感じ。
フェイクが下手なので、読者を真相までうまく誘導できてないと思いました。

なんだかんだいって次の真梨作品を読もうとしている私は、作者の術中にはまっているかもしれない・・・。

(2015年2月読了)
えんじ色心中 (講談社文庫) えんじ色心中 (講談社文庫)
真梨 幸子

講談社 2014-09-12

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★★★

ある少年が、受験戦争を潜り抜けて名門難関校に合格したのに家庭内暴力の末、父親に殺されてしまったという「西池袋事件」。
事件から16年後、新たな悲劇が起こる――。

「西池袋事件」を軸として、2つの仕事をかけもちしながら何とか生活している久保のパートと、落ちこぼれの少年と帰国子女の少女の交流を描く過去のパートが交互に語られる、複雑な構成。

独り言のような一人称が、どこまで現実でどこまで妄想なのかわからなくなります。
時系列もあいまいで先が読めず、ブツ切りのトピックを積み重ねるブログを読んでいるような感じ。
読者の共感を拒む文章が、いっそすがすがしい(笑)!

ミステリとしては破綻しているというか、ちりばめられた伏線がうまく回収されているようには思えないので結末ではカタルシスを味わえないのですが、どの登場人物も病んでいて、その病み描写が読ませどころ。

現代を生きる人の閉塞感を描きたかったのかなー、と思います。

もっと情報を整理して、綺麗で読みやすい構成にすることもできたんじゃないかと感じましたが、多分、あえてこんな構成にしたんじゃないかな。

多面性を持つ複雑怪奇な「人間」をなぞるように、複雑な構成にしたんじゃないかと。

(2015年2月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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