豚がつづる読書ブログ
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アキラとあきら (徳間文庫) 池井戸潤 徳間書店 2017-05-17 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
父の経営する町工場の倒産を見て育った山崎瑛(あきら)と、名門海運企業の創業家に生まれ、英才教育を受けて育った御曹司、階堂彬(あきら)。
同じ名前ながらも対照的な生い立ちの二人は、矛盾や困難を乗り越えてバブル経済期に銀行員となり、互いを認めながらバンカーとしての才能を開花させ、さらなる難題に立ち向かう──。
二人のあきらの30年の成長を700ページにわたって丁寧に描いたストーリーです。
小学校を起点として高校から大学、バブル期の就職から中堅社員となるまで、実在の人物の30年を観察しているかのような気持ちになりました。
金に翻弄される青少年期を送った二人はそれぞれ目的を抱いて銀行に就職するわけですが、その様子をつぶさに描いているので、読者の頭の中に説得力のあるリアルな実像として浮かんできます。
中盤以降の、取引先との融資交渉や同族企業経営の難しさを描いた劇的な展開には手に汗を握りながら一気読み。
バブル期に建てたホテル事業の不採算により本業まで不振に陥った企業をどのように復活させるのか、知恵を絞る二人の苦悩と葛藤が見事でした。
「倒産した町工場」「銀行員としての矜持」など、いつもの池井戸作品と同じ要素が入っていますが、今回は経営者側の苦労が丹念に描かれているので一味違った読み心地でした。
欲を言えば、思ったほどアキラ二人の会話が無く、接点が薄い気がします。
あと、終盤は御曹司のアキラのほうの話が中心となるので、もう一人のアキラのエピソードももうちょっと読みたかった。
二人のアキラの配分が悪い…でも全体のバランスを考えればこれが最良かもしれません。
配られたカードで勝負するしかない人生の残酷さと、それを乗り越えようとする強い意志の力に圧倒される作品でした。
(2017年8月読了)
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読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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