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豚がつづる読書ブログ
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★★★

フリーの編集者が刺殺体となって発見され、三人の作家志望者が容疑者として浮上するも捜査は難航。

捜査一課は、警察を退職後作家となったが刑事技能指導員として再雇用された毒島(ぶすじま)を助っ人に呼ぶ。
毒島は冴え渡る推理と鋭い舌鋒で犯人を追い詰めていくが…。

出版業界で殺人事件が起こるたびに作家兼刑事の毒島が呼ばれ、鮮やかに事件を暴いていくという5編のミステリ短編集。

正直、ミステリのトリックや独自性は大したことないと思います。
事件も複雑なものではないし、ミスリードを誘う手口は紋切り型だし、どんでん返しも予想通りだし。

それよりも、この小説の主軸は毒島の吐く毒舌や出版業界の実態のほうにあります。
出版業界に巣食う魑魅魍魎たち(作家、編集者、作家志望者、ファン、実写化するTVプロデューサーなどなど)の実態を面白おかしく活写し、それらを毒島は歯に衣着せぬ言い方で一刀両断していきます。
業界にはびこるモラルも常識もない者たちの生態も何だかリアルで笑えますが、相手を完膚なきまでに叩きのめす毒島のキレッキレな口撃も読んでいて気持ちがいいほど。
業界の裏話も盛りだくさんなので、作者の日頃の鬱憤も大いに含まれているんでしょうね~。
図書館で無料で本を借りてネットで感想をアップする評論家気取りの素人に対しても容赦なくこき下ろしてます。耳が痛い・・・。

中山作品はいつもシビアな皮肉がつめこまれていますが、今作はよりブラックユーモア増し増しで、いつも以上の面白さでした。

ただ、小説界隈でそんなに頻繁に殺人事件は起こらないので、シリーズ化はむずかしいかもしれない・・・。

(2019年9月読了)
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sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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