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豚がつづる読書ブログ
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あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫) あきない世傳金と銀〈2〉早瀬篇 (ハルキ文庫)
高田 郁

角川春樹事務所 2016-08-09

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★★★


1巻で衝撃的な終わり方をした『あきない世傳』の続き。
幸が奉公する呉服商・五鈴屋の店主は放蕩三昧で、店は危機に瀕していた。
そんな中、幸に思いもよらぬ縁談が持ち上がり、選ぶ余地のない選択を迫られる。
あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。

「早瀬編」とタイトルにあるように、予想以上の速さで展開するジェットコースターストーリー。

17歳になった幸の体つきはふっくらと女らしくなり、同時に、今まで得た商いの知識も花開く寸前の蕾のようにふくらんでいきます。
これから花咲くであろう彼女の道行きが眩しくもあり・・・順風満帆にいかないと予想されるその紆余曲折が切なくもあり。

幸は選ばざるを得なかった皮肉な運命を受け入れ、それが彼女の運命を切り開いていきます。
幸は運を引き寄せ、ワンチャンをつかみとってそれを活用していくことのできる人なんですね。
やはりそれは、地道な努力と、日常の出会いを大切にいとおしんで光に顔を向けて進んでいく強さを持っているからなのでしょう。

できることならば、彼女の商売上のパートナーと恋の相手は自分で選んでほしいものですが・・・それが簡単に行くならこの話は終わっちゃうので、まだまだ苦難の道を辿っていくことになるんでしょうね。

幸が大輪の花を咲かせるまでまだまだ道のりは長そうですが、次作も期待してます。

次の巻、早く出ないかな~。

(2015年10月読了)
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あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫) あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)
髙田郁

角川春樹事務所 2016-02-12

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★★★

学者の娘として厳しく育てられた幸(さち)は、享保の大飢饉によって父と兄を失い大坂の呉服商に女衆(下女)として一人で奉公することになる。
「商は詐なり」と父に教えられて育った幸だったが、初めて間近で見る商いに興味を持つ。
元々学者の父のように学ぶことが好きだった幸は、番頭にその資質を認められ商いの道へと進み始めるが・・・。

「みをつくし」シリーズ完結後、待ちに待った新シリーズの第一作です。

まだまだ序盤といったおもむきですが、すでに物語がダイナミックに動いており、最後はえっ??という展開に。
前シリーズ同様、主人公の少女に苦難に次ぐ苦難が襲い掛かるのだろうと予想されますが、それらを知恵と努力ではねのけていく展開にワクワクしますね。

多難を乗り越えていけるのだろうなとわかってるんだけど、やっぱり今後の展開が楽しみです。
商売の話らしく、俗っぽい面や人の欲望についてちゃんと描いているのも好もしいです。

取り急ぎ、つぶれかけの呉服屋をどう立て直していくか、そして幸がそれにどう関わっていくのか、先が気になります。

(2016年9月読了)
晴れときどき涙雨 髙田 郁のできるまで (幻冬舎文庫) 晴れときどき涙雨 髙田 郁のできるまで (幻冬舎文庫)
髙田 郁

幻冬舎 2014-12-04

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★★★★

高田郁さんのエッセイ集。

「みをつくし料理帖」はどのような方が書いたのだろうという興味から読んでみました。

漫画原作者時代の取材、司法試験の挫折、阪神大震災や交通事故。
さまざまな困難を乗り越えた彼女だからこそ、紡がれる文章は人の痛みに敏感で優しさに満ちたものになるのだろう、と納得できました。

このエッセイも他の小説も、すごく文章に温度を感じさせてくれるんですよね。
至極まっとうなバランス感覚と、文章にうまく感情を乗せて人に伝えることのできる力を持ち合わせた稀有な方なんじゃないかなー、と思います。

力強さはないけど芯に力があるというか、たわんでもまっすぐ戻るしなやかな枝のような方なのでしょう・・・。

素敵!

(2014年12月読了)
ふるさと銀河線 軌道春秋 (双葉文庫) ふるさと銀河線 軌道春秋 (双葉文庫)
高田 郁

双葉社 2013-11-14

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★★★

今まで時代小説を描いてきた著者が、初めて現代を舞台に描いた9編。
誰もが一度は乗ったことのある鉄道の情景の中で、懸命に生きる人々の姿を描いた短編集。

高田郁さんの現代ものは初めてでしたが、著者らしい、繊細な手つきであらわになる様々な家族の姿に、胸が温かくなったり、切なくて苦しくなったり。

苦難や悲哀に直面して、人生の踊り場から抜け出せずにいる人々。
彼らが平凡な毎日にちりばめられた幸せの断片を大切にいとおしみ、少しずつ前を向いてこうとする姿には心を揺さぶられました。

読み手の年齢や状況によって受け取り方が異なると思うので、人によって胸に響く作品も違ってくるんじゃないかな。
私は、「ムシヤシナイ」「幸福が遠すぎたら」「晩夏光」が心に染み入りました。

いつか落ち込んで立ち上がれなくなった時、人生の節目に行きあたった時などに、読み返してみたくなる一冊です。

(2014年3月読了)

あい あい
高田 郁

角川春樹事務所 2013-01-09

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★★★

幕末から明治にかけて激動の時代を生きた実在の医師、関寛斎。
町医者や藩医として活躍し、そして地位や名誉を捨てて北海道開拓に尽力した彼を、その妻のあいの視点から描いた物語。

次々と降りかかる苦難にも屈せず地道に努力を重ねていく寛斎と、それを支えるあいの姿には自然と頭が下がります。
逆境に立たされても高潔な志を貫く夫に添い遂げたあいの生き方は、まさに内助の功と呼ぶにふさわしく、「みをつくし」の澪とは違ったタイプですが、その前向きさには励まされました。

ただ、苦難を乗り越えてまた苦難が襲い・・・という展開の繰り返しが一本調子で盛り上がりに欠けるのと、あいの古風な生き方が優等生すぎると感じ、少し辟易してしまいました。

蛇足ですが、その後の寛斎について知りたくなったのでネットで調べたところ、愕然・・・。
誰よりも命の尊さを知っている医師であったはずの寛斎が、なぜその最期を選んだのか。
「あい」の清冽な読後感が変わってしまいそうなぐらい、衝撃でした。

関寛斎を描いた小説は他にもあるので、機会があったら読んでみようと思います。

(2013年6月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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