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豚がつづる読書ブログ
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★★★

美術品犯罪に対応する警視庁捜査二課の美術犯罪捜査班。
詐欺ビジネスが疑われる美術品販売会社を相手に、美術知識ゼロの新米刑事と美人女性上司が違法スレスレの悪だくみを暴こうとする。
両社の対決はどう決着するのか――。

門井慶喜の美術ミステリ・神永美有シリーズが面白かったのでそれを念頭に読んだのですが…ちょっとガッカリしました。

美術うんちくはかなり神永シリーズよりも控えめに説明されるので読みやすかったです。
漫画的なキャラが漫画的に行動し、さらに読み口を軽くしています。

面白さを感じた点もたくさんありました。
美術品の価値を決める要素が逆説的に作用してしまうという皮肉的なおかしさ。
絵を描いた当人によって真作が贋作に転じ価値観の反転をはかるという、人を食った展開。
芸術に金銭的な価値をつけることの妥当性を読み手に問いかけるかのような挑戦的な姿勢。

難解でとっつきにくい「美術」の世界を題材にしながらも、敷居を低くして読みやすくしようと心がけていると思われるのですが…モナリザを知らないアホな刑事(よく公務員試験に受かったな…)が無鉄砲に行動する展開はトゥーマッチすぎて脱力しました。
コミカルが過ぎてギャグになっちゃってると言うのかな。

その上、スリリングで読者を高揚させる章もあったのに、最後の章がいろいろ乱暴すぎて閉口しました。
捜査対象者が刑事の〇〇なのもおかしいし、〇に訴えて犯罪を防ごうとするのも変。
絵を〇〇〇ことを〇〇〇のもありえない。
伏字だらけになっちゃったけど。

こんな子供騙しのような話の帰結、読者を何だかバカにしてるのかなと思ってしまいます。
わかりやすく読みやすい、売れる小説を編集者から求められるのだろうけど、読み手もそんなバカじゃない。
美術犯罪捜査班なんてタイトルの本を手に取る時点で、読者も少しは美術に興味を持ってるだろうから、こんな浅い内容は期待してないと思う。

もっと違うやり方で料理すれば面白くなるのに、惜しい作品でした。

(2017年6月読了)
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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