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豚がつづる読書ブログ
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★★★★

肉体的あるいは精神的に隷属状態に置かれた人々を描いた短篇集。


とにかくぞくぞくしました。
面白いと言うのは不謹慎かもしれないけど、こんな気持ちにさせてくれる桐野夏生という作家はやっぱり稀有な存在だと思います。

さまざまな時代や設定の中で、奴隷として抑圧状態に置かれた人やその周囲の人を描いていますが、自分の抑圧状態に無自覚な人もいれば、脱出しようと戦おうという人もいます。

暴力によって肉体的に支配される女性を描いた話はとんでもなく苛烈で、過去だけではなく現在でもこのような扱いを受ける女性がいるのだろうと想像するのもおぞましく、反吐が出そうになりました。

精神的に搾取され続ける女性の地下アイドルの話も痛々しかった…。
作中ではアイドルが「キモオタ」に消費されいつかは見向きもされないであろう未来を暗示しており、人間の尊厳を削り取っていく歪んだ構造に寒気がしました。

よく考えたら、人間が二人以上いたら支配と隷属は必ず存在し、それは人間社会の構造上当たり前のことなのかもしれません。
現代日本でも精神的な抑圧は至るところにあって、今の隷属状態から抜け出してもまた別の何かに支配されるかもしれないし、生き続けてるだけで「地獄巡り」みたいなものなのかも。

世界に搾取され続ける人がいることに目を背けず、小説で描くことで絶えず訴え、現代社会を照射し続ける桐野さん。
多分、自分が社会に受けた怒りが小説を描く原動力になっているのかな。
私はデビュー以来桐野作品の登場人物にずっと共感してるし、自分の気持ちを代弁してくれてると思ってます。
桐野さん、大好き…いつまでも作品を追って読んでいきたいです!

(2019年2月読了)
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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