豚がつづる読書ブログ
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骸の爪 (幻冬舎文庫) 道尾 秀介 幻冬舎 2009-09 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
ホラー作家の道尾は仏像を作る工房・瑞祥房に取材に訪れたが、夜中に怪異に遭遇する。
翌朝には仏師が行方不明となり、昨夜の怪異について工房の人々に尋ねるたものの、道尾は追い出されてしまう。
道尾は心霊現象を研究する友人・真備とその助手・北見を伴って瑞祥房を再訪するが、再び仏師の失踪事件が…。
ホラー作家の道尾と探偵役の真備が活躍するシリーズ第二弾。
序盤からおどろおどろしいシーンがたたみかけられ、恐怖の盛り上げ方が半端ないです。
日中は仏師が作業している工房が夜中になると真っ暗になり、懐中電灯のかすかな灯りに照らされた仏像が笑うシーンなんて…夜中に読んでいたので叫び声をあげそうになりましたね。
恐怖感で一気に読み手を物語に引きずり込む手口が容赦ないです~。
二十年前の仏師の失踪事件の謎を紐解いていくうちに現在進行形の謎も深まり、読み手としては何がなんだかよくわからない状況で緊張感だけが高まっていきます。
そして終盤、巧妙に張られた伏線と精緻に隠されていた事実が徐々に暴かれ、それまでの意味不明な手がかりが何だったのか、作者の演出の意図にやっと気づくのです(私だけ??)。
自然な伏線回収と情報の小出しの手練手管は慣れたもので、後年のトリックマスターである作者の本領発揮となっています。
前作はオカルト部分とミステリ部分が拮抗していましたが、今回は謎を論理的に解決していくという、本格ミステリの枠組の中できっちり積み上げられたミステリという印象でした。
その分、面白みは少なく、小さくまとまってしまったなーという感じはあります。
主人公たち3人のキャラクターも薄くって…。
でも面白いことには変わりないので、続編は読みたいと思います。
(2016年8月読了)
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背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫) 道尾 秀介 幻冬舎 2007-10 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
背の眼〈下〉 (幻冬舎文庫) 道尾 秀介 幻冬舎 2007-10 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
上巻★★★
下巻★★★★
「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」ホラー作家の道尾が旅先の白峠村の河原で耳にした無気味な声。
道尾は東京に逃げ戻り、「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れた。
そこで見たのは、被写体の背中に二つの眼が写る四枚の心霊写真。
道尾は真相を求めて、真備と助手の北見とともに再び白峠村に向かうが…。
道尾秀介さんのデビュー作。
ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作だそうですが、ミステリ色も強く、万人受けしそうです。
天狗伝説などの民話のうんちくや東海道五十三次の浮世絵のガジェットをうまく使っており、ストーリーを盛り上げる要素も満点。
ホラーと接触しつつ怪異現象を論理的に説明してみせるという話の転がせ方が上手く、
一連の事件が霊のなせる業なのかそれとも人間の行う所業なのか、
帰着が見えずにわくわくしながら読みました。
終盤のジェットコースター展開に突入するとハラハラも最高潮に。
手に汗握りながら、ラストまでぶっ通して一気読みでした。
最後もそつなく小奇麗にまとまっており、安定した読み心地。ホラーと接触しつつ怪異現象を論理的に説明してみせるという話の転がせ方が上手く、
一連の事件が霊のなせる業なのかそれとも人間の行う所業なのか、
帰着が見えずにわくわくしながら読みました。
終盤のジェットコースター展開に突入するとハラハラも最高潮に。
手に汗握りながら、ラストまでぶっ通して一気読みでした。
デビュー作なので物語の作りこみや人物造形がすこし粗削りでしたが、全体的にセンスのいい感じが垣間見え、その後の道尾さんの片鱗が見える1冊でした。
(2016年2月読了) 鬼の跫音 (角川文庫) 道尾 秀介 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-11-25 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
ホラー色の濃い6編のミステリ短編集。
乱歩作品を想起させるような怪しく淫靡な雰囲気のお話が多いので、設定や話の運びにどこか既視感を感じるものの、読み手にそんなことを気にさせないほどの吸引力がありました。
論理では割り切れない幻想と現実のあいだを浮遊しながら、どちらに転んでもおかしくない危うさを孕みつつ、最後には理屈上も納得できる形に着地してみせる手さばきにはいつもながら感嘆させられます。
狂気に囚われた人間が織りなす救いの無い話ばかりなのですが、無限に続く悪夢から覚めずにまどろんでいたいような気がしました・・・。
快楽と恐怖は似ているのかもなあ・・・と、読後も余韻を引きずって現実に戻るのがちょっとイヤでした。
(2015年3月読了)
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫) 道尾 秀介 講談社 2011-07-15 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
ベテラン詐欺師と相棒の中年2人組は、ある日、ひょんなことからある少女と知り合う。
二人は彼女と姉、その恋人と奇妙な共同生活が送ることになり、次第に奇妙な絆を育んでいく。
そして自らの過去と訣別するため、一致団結し一大詐欺作戦を企てるが・・・。
今回もうまく騙されてしまった!
読み手に対してフェアな作者の姿勢がいい。
情報が入ってくるスピードも程よく、心地よく読み終えることが出来ました。
(2013年5月読了)
龍神の雨 (新潮文庫) 道尾 秀介 新潮社 2012-01-28 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
血の繋がらない親と生活する兄妹と兄弟。
嵐の中、二組の似た境遇のきょうだいが交錯する時、事件が起こる。
この小説の主人公は雨と言っても過言ではないくらい、物語に占める雨の存在感が大きい。
雨の描写がもたらす陰鬱さや閉塞感で、読んでるこちらまで息苦しく感じるくらい。
今回も、終盤に事件を二転三転させるための用意が周到。
読者の予想を見事に裏切り、作者が再構築した真実の物語に舌を巻きました。
きょうだい達がお互いを思い合うがために、どんどん歯車がずれていくように状況が悪化していく様子がなんとも切なかった。
ラストでは降り続いていた雨がようやくやみ、ほのかな希望のきざしが見えてきて、祈るような気持ちで本を閉じました。
良く考えると登場人物も少なく、単純なお話なのですが、ここまで読者に手に汗を握らせ一気に読ませてしまうのは、練られたプロットと描写力の確かな実力ゆえだと感じます。
一作ごとに文章もテクニックも磨かれていくのが如実に判りますねー。道尾さん凄いです。
文庫巻末の解説の、龍や雨のメタファーが示唆するところも興味深かったです。
いろんな解釈のできる、奥行きのある小説でした。
(2013年8月読了)
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sis
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非公開
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
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