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寒椿ゆれる―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫) 寒椿ゆれる―猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)
近藤 史恵

光文社 2011-03-10

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★★★★

猿若町捕物帳シリーズ4作目。

猪鍋屋で食中毒事件が起こり、その後死人まで出てしまうという「猪鍋」、巴之丞が娘に襲われ犯人を捜す「清姫」、北町の堅物同心・大石が金貸を襲った一味の仲間と疑われる「寒椿」という3編を収録した連作短編集。

男前だが女心に疎い堅物の同心玉島千蔭、人気女形役者の巴之丞、聡明できっぷのいい吉原の花魁・梅が枝、千蔭の義母お駒などなど、前作までに登場した人が今作でも総動員し、それぞれ活躍しています。
どのキャラも脇とはいえないくらい存在感があふれていて、かつ物語も高いレベルで安定しているので安心して読み進めることができました。

どの短編も事件が起きてその謎を解く、という流れなのですが、横軸に千陰の見合い話が配置されており、こちらの縁談もどう転がっていくのかとても気になりながら読みました。

今度の縁談相手は、合理的すぎる風変わりな性格のため婚期を逸した女性・おろく。
変わっているけど素直で聡明なおろくと千蔭はお似合いのような気がして、ほほえましい。
応援したくなるけど梅が枝との関係は・・・と、読者としてはやきもきしちゃいました。

出色の出来は、最後の短編「寒椿」。
ただ一度会い、少しの言葉を交わしただけなのに相手を忘れられず、想い続ける。
恋とか愛などの言葉を使わず、簡潔な描写で登場人物の心情を表現してみせる作者の力量は見事。

おろくの想いの切なさ、千蔭の温かさが心に残る味わい深いお話でした。

(2016年12月読了)
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読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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