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太陽の坐る場所 (文春文庫) 太陽の坐る場所 (文春文庫)
辻村 深月

文藝春秋 2011-06-10

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★★

卒業から10年、F県立藤見高校のクラスメイトだった同級生の1人が、女優として成功を収めていた。
次の同窓会に呼ぼうと盛り上がる同級生たちは、彼女に連絡をとることで、当時の苦い記憶を思い出し・・・。

同級生の5人を主人公にした5編の連作集。
こういう語り手が変わっていく連作集は、同じエピソードが異なる視点で語られていくことで、それまでとは全く違う意表をついた展開になったりするので結構好きです。
このお話もそんな感じで、どんどん謎がつまびらかになっていく手法がうまくいっていると思いましたが、謎自体がしょぼかったのでちょっと肩すかしでした。

それに、わたしの想像力が足りないせいかもしれませんが、登場人物の気持ちに共感できなかったです。
高校時代のスクールカーストの様子はうまく語られていて、当時の息苦しさを思い出させてくれたのですが、大人になった今も登場人物たちがそれに囚われ、過去にひきずられすぎているのはあまりリアルじゃない。

カースト上位者への劣等感、嫉妬、虚栄心、地方に住み続けている同級生への優越感など、誰しもが持つ負の感情だけを顕微鏡で拡大してずっと見せられている感じで、読んでいる間、いい気分はしなかったです。

負の部分をえぐり出し、むきだしにするやり方は桐野夏生のお得意の方法なんですが、桐野さんと違って深みや考察が浅いので、イヤな気分だけが残るというか。

わたしはこれだけ人間の負の部分を冷静にさらけ出せるのよ、という著者の自己顕示欲や自己陶酔が透けて見え、鼻につくんですよね・・・。

同じようなテーマの「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」は面白かったのにな。

(2014年12月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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