忍者ブログ
豚がつづる読書ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


★★★

東京都の小さな離島で、ミイラ化した若い女性の遺体が発見された。
通常とは異なる遺体の状態に法医昆虫学者の赤堀に出動要請が入り、彼女の世話係の警視庁の岩楯も島に向かう。
解剖医は自殺と断定し、死亡推定月日は3ヵ月以上前と判明するが…。

遺体に群がる虫の痕跡から事件を紐解いていく昆虫学捜査官・赤堀涼子を主人公にしたシリーズももう五作目。
毎回異なるパターンの虫や現場が出てくるので、飽きない作品です。

今回はミイラ化遺体ということで、大量のウジ虫ちゃんが出てこないのでそんなにグロくなく、物足りない感じ。
私は別にグロいのが得意なわけではないのですが、このシリーズを読んでいるうちに耐性ができてしまったようです。

昆虫相から死の真相を調べる赤堀と、被害者の周辺の聞き込みによって捜査していく岩楯たち警察。
同時並行の推理がやがて一つの真実に辿り着き、集約していく様子はスリリングで、圧倒的なカタルシスを感じることができます。

女性の多い職場ならではの陰湿なやり口でいじめられ、家族からも忌避され、最後は離島を観光で盛り立てようとする地元の野心家たちの餌食になり、死んでいった被害者。
そんな暗い影を落としていた被害者をめぐる状況と不気味な虫たちの生態が二重写しにされ、より一層の陰惨さを際立たせています。
ちょっと薄暗い話ですが…でも、最後に二人の登場人物(兵藤と由紀)が事件を通して少し前向きになり、かすかに明るい兆しがもたらされるのは良かったです。
また、赤堀と岩楯の、仕事への自負とバディとしての信頼感が感じられるラストも読後感が最高でした。

次巻が楽しみ~。

(2019年8月読了)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新TB
プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析

Copyright © [ 豚は無慈悲な夜の女王 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]