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豚がつづる読書ブログ
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★★★★

東京都西多摩でバラバラ死体が発見され、岩楯警部補は山岳救助隊員の牛久とペアを組み捜査に加わった。
捜査に協力する法医昆虫学者の赤堀涼子は、死体に付いたウジの生育状況から死亡推定日を割り出す。
しかしそれは司法解剖医が出した推定日と食い違っており、否定されてしまう──。

法医昆虫学捜査官シリーズ四作目。
今作も前作と同様に、死体に付いた虫のわずかな手掛りから事件の糸口を見出し、解決に導いていくという異色の警察サスペンスです。

ちょっぴりエキセントリックな言動で周囲を困惑させる赤堀ですが、まだ警察捜査方法として確立・信頼されていない法医昆虫学を認めてもらうために、地道で膨大な作業をこなし、仮説と検証を繰り返す様子には学者としての意地と底力を見せつけられたようで、感心しました。

一方で、岩楯警部補は現場の村で聞き込みを始めるわけですが、怪しい人物がいるものの終盤まで被害者の身元も犯行動機も特定できません。
そんな、捜査が遅々として進まない様子がリアルな臨場感を演出しており、迫力がありました。
いつものように岩楯と赤堀の掛け合いも楽しく、抜群の安定感でした。

また、終盤明らかになる、余人の想像を絶する苛烈な真相には思わず戦慄。
常人の理解を寄せつけない歪んだ欲望には、非道な世界への拒絶と愛する者への帰依を感じます。
一線を越えてしまった人間の狂気と執着をまざまざと見せつけられ、何とも言えない後味の悪さが残りました。

ただただ、面白かったです!

(2018年12月読了)
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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