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百年法 上 山田 宗樹 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-07-28 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
百年法 下 山田 宗樹 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-07-28 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
不老技術によって不老不死が実現した世界。
世代交代を促すため、不老処置を受けた者は100年後に死ななければならないという法律『百年法』も併せて成立していた。
やがて100年が経ち期限を迎える人々が出始め、百年法の撤廃や凍結を求める声が高くなった―。
不老不死が実現したら社会はどうなるのか?というシミュレーションがリアルで、絵空事でないと思わせてくれました。
百年法を施行する者や受け入れる者、抗う者と、いくつかの視点で書くことで、物語に客観性を持たせることに成功してます。
今の日本が置かれた状況にシンクロした話なので、いちいちリアルな感じです。
死という終わりが無かったら自分はどう生きるだろう・・・死があるからこそ生に意味があるのかも・・・と、考えさせられました。
ただ、物語後半に謎の病気が出てきたあたりから、突っ込みどころのたくさんある雑な展開になり、一気に作り物めいたお話になってしまい、残念でした。
設定が面白かったのに、下巻は失速してるし魅力的な登場人物もいないし、「おしい」という印象が強く残りました。
(2013年8月読了)
パラダイス・ロスト 柳 広司 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-03-24 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
第二次大戦前夜の異端のスパイ集団「D機関」シリーズ第三弾。
今回もD機関に属するスパイたちの活躍を描いた、4編の短編集。
スパイたちの駆け引きの攻防がスタイリッシュに描かれ、それなりに読みごたえがあるのですが、第一作の時のような目新しさは無く、そろそろ飽きてきました…。
前作からずっと、どれも展開が似たような感じで(騙されているが・・・ほんとは騙していた!みたいなどんでん返し)、安定感はあるものの小さい物語でまとまっていて、胸が熱くなるようなカタルシスは無いです。
次回作が出たら、また期待して読もうと思います(なんだかんだ言ってもこのシリーズが好きなのかも)。
(2013年3月読了)
ダブル・ジョーカー (角川文庫) 柳 広司 角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-06-22 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
結城中佐率いるエリートスパイ集団「D機関」を描いた二作目。
陸軍にもう一つの諜報養成機関が設立され、D機関を脅かす「ダブル・ジョーカー 」、他五編。
D機関のスパイたちの超人ぶりがちょっと漫画っぽいというかライトな感じがしてリアリティが無いのですが、いろんなシチュエーションで読者を飽きさせず一気に読ませてしまいます。
予定調和な展開ながらも、ひねりのきいたストーリーで、ラストが爽快。
第二次世界大戦が始まったところで終わってしまったので、続編が楽しみ。
(2013年1月読了)
終点のあの子 (文春文庫) 柚木 麻子 文藝春秋 2012-04-10 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
プロテスタント系の私立女子高校に中学から通う希代子は、高校から入学してきた朱里に夢中になる。
有名写真家を父に持つ自由奔放な彼女と仲良くなって有頂天となるものの、やがてはその勝手さに振り回され、違和感をいだくように…。
クラス内カーストを生き抜く術を身につけ、ささいな優越感と劣等感でお互いをランク付けし合う少女達。
自意識過剰とコンプレックスがないまぜになった思春期の女の子たちを狭い教室に詰め込むのだから、いろんな感情の多重衝突が起こるのは当たり前。
そんな彼女たちの感情の揺れを精緻な動体視力で捕まえ、容赦のないナマの人間の右往左往をみごとに描き出しています。
女子校に通った身としては、彼女達の気持ちが共感できる分、目をそらしたいような、そっと背中を押してあげたいような、なんとも気持ちがざわつくような小説でした。
彼女達が、他人とは完璧に理解し合えないのだと諦念の中でもがきながら安寧を得ようと努力する姿を、誰も批判はできないよね。
…というのは、かつて少女であった私の、自己愛あふるる自己弁護ですかね。
(2012年12月読了)
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★★★★★5つ!
深夜営業の画廊に飾ってあった三葉の銅版画から導かれる、冬を知らない冬眠者たちをめぐる、幻想小説連作集。
静謐で、歪んだ美しい世界がおごそかに陳列されている。
ストーリーを説明するのはとても難しい。
まるで夜に見る夢を小説化したようで、読んでも読んでも腑に落ちることなく、放り出されたまま。
無駄のない硬質な文章は平易なのに、視点や時制がなめらかに切り替わってどんどん相がズレていき、読み進めることが困難なのだ。
常識や理性とかいったものは、この作品を鑑賞するのには邪魔になってしまう。
ただただ瞠目し、耽溺するのみである。
(2012年2月読了)
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大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。