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豚がつづる読書ブログ
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その鏡は嘘をつく (講談社文庫) その鏡は嘘をつく (講談社文庫)
薬丸 岳

講談社 2016-03-15

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★★★

鏡に囲まれた奇妙な部屋でエリート医師が自殺した。

自殺したのは痴漢の汚名を着せられ嫌疑不十分で釈放された直後だったが、その死を他殺と疑った検事・志藤は独自に調査を進める。
同じ頃、所轄の人情刑事・夏目はある手がかりから真相を探っていくが・・・。

「刑事のまなざし」の夏目刑事が再登場。
前作が良かったので、今後もシリーズ化してほしいと思ってました~。

今回は、夏目刑事と志藤検事の推理が交互に展開されていきます。
真実を明らかにするという目的は同じなのに、正義に対するアプローチが異なるために捜査方法が違う二人。
そんな二人の視点で事件の核心に迫っていく展開は緊迫感があって読み応えがありました。

人の心に寄り添いながら捜査を進めていく夏目には相変わらず感情を揺さぶられましたが、今回は志藤検事のほうが出番が多いので夏目刑事の魅力があまり発揮されてない気がしました。

終盤も駆け足気味のせいか、ちょっと雑な感じで残念。
「鏡」というガジェットもうまく使いこなしていないし、人物の掘り下げも足りないので受け入れがたい真相にはリアリティを感じることができないんですよね。

次回作を楽しみにしたいと思います。

(2016年7月読了)
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ラスト・ワルツ (角川文庫) ラスト・ワルツ (角川文庫)
柳 広司

KADOKAWA/角川書店 2016-03-25

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★★★

「ジョーカー・ゲーム」シリーズ第4弾。 ドイツの映画撮影所でナチスの宣伝大臣ゲッベルスと対峙した日本人スパイを描く「ワルキューレ」、疾走する特急車内で「スパイ殺し」を目的としたソ連の秘密諜報機関“スメルシュ"に狙われるD機関の諜報員を描く「アジア・エクスプレス」、退屈な生活に惓んでいた侯爵家令嬢が語る己の半生を描いた「舞踏会の夜」等、4編の短編集。

前作同様、裏の裏をかくD機関の諜報員の暗躍を、緊迫感あふれるタッチで描いてます。
短編ならではの急展開が疾走感を倍増させ、手に汗握りながら読みました。

「舞踏会の夜」は珍しく女性が主人公のお話。
華やかな舞踏会で己の反省を振り返る華族の令嬢が語る回想は、なんともロマンチックで艶やかな雰囲気。
結城中佐とのロマンスが語られるのか?と期待したのですが・・・まあこんなものよね笑。

D機関のスパイがほとんど登場しない「パンドラ」も地味ながら面白かったし、特急列車の密室劇を描いた「アジア・エクスプレス」もミステリーらしくて楽しめたし、満足です。

過去話を書けばいくらでもD機関シリーズは続いていきそうですが、敗戦に向かう日本の状況の中でのスパイ達の活動は、あと一波乱あって終わりってところでしょうか。 最後の盛り上がりを楽しみにしてます。

(2016年6月読了)
けむたい後輩 (幻冬舎文庫) けむたい後輩 (幻冬舎文庫)
柚木 麻子

幻冬舎 2014-12-04

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★★★

14歳の時に詩集を出版してカリスマ的な存在になったものの、今は過去の栄光にしがみついている栞子。
彼女に憧れる病弱で世間知らずの後輩・真実子と、真実子を心配する同郷の美里。
お嬢様女子大を舞台にした女性特有の劣等感や優越感を描いた物語。

栞子という強烈なキャラが、わたしは結構好きです。
彼女は、周囲とは違うという孤高の存在を気取っているものの、実は男に依存し、誰かに愛され認められたがっているただの平凡な女の子。
何をやっても才能をあらわしてしまう真実子よりもずっと人間臭く、嫌いになれない。
こんな虚勢まみれの痛々しい栞子に惹かれるのは、彼女が利己的な狡猾さを露呈しながらも、美しい理想を捨てきれない弱さをさらけ出しているところに尊さを感じるからだと思う。

また、女性たちの共依存のような関係性も…好きです(※個人的な感想です…)。
真実子は栞子を崇拝し、栞子は真美子に慕われることで自分を保ち、美里は病弱な真実子の面倒を見ることに熱心。
美しいですよね~(※個人的な感想です)。

終盤、口ばかりで努力しない栞子に対して成功した真美子は「お前、イタイよ」とつきつけるのですが、これは真美子側の決別と見せかけて、真美子がいかに栞子に囚われているかを示しているような気がしてなりません。
今後も真美子は栞子の価値基準に囚われ続け、栞子は真美子のことを過去の人間としてすぐに忘れそう。

こんなアンバランスな女性同士の関係、いいですよね~(※個人的な感想です)。

(2015年11月読了)
刑事のまなざし (講談社文庫) 刑事のまなざし (講談社文庫)
薬丸 岳

講談社 2012-06-15

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★★★

娘が通り魔事件の被害に遭い、植物状態になったことをきっかけで警察官に転職した夏目。
6年後、刑事課に配属され新人刑事となった夏目の刑事としてのまなざしは被害者の痛みを
知る優しさと罪を憎む厳しさを湛えていた―。

7つの殺人事件や窃盗事件を夏目が紐解いていくという短編集ですが、どの事件も経過が
ちょっとワンパターンで、あっと驚くような結末ではありません。

それでも読み手の心を強く打つのは、やむにやまれぬ事情で犯罪を犯した者たちに夏目が
寄り添う気持ちが強く伝わってくるから。

元法務技官として人が更生することに尽力してきた夏目が、娘の事件によって葛藤しながら
も人の罪に真正面から向き合う仕事に転職した、その彼の言動だからこそ説得力がある。
大切な人を失った痛みを知る大人こそ、響いてくるお話となっているんですね。

夏目の言動はまっとうで人間味があり、人を見つめる視線の暖かさに安心します。
犯罪を犯した人がどうやって罪を償うかという問題に言及しており、ひどく考えさせられ
ました。


(2014年10月読了)
もぐら (中公文庫) もぐら (中公文庫)
矢月 秀作

中央公論新社 2012-04-21
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 ★★★

かつて愛する家族を失った元刑事の影野は、現在はトラブルシューターとして闇社会では“もぐら”と恐れられる存在になっていた。
売春を強要されている妹を助けてほしいという依頼を影野は受けるが、その裏には恐るべき陰謀が…。

読んでいてスカっとするハードアクション小説。
主人公が銃をぶっぱなして人を殺しまくり、撃たれても刺されても絶対に死なない不死身っぷりには笑ってしまうほど。

気持ちよいほどの勧善懲悪仕立てで、理屈をこねくりまわしたりしない肩の凝らない物語なのでサクサク読めました。

好みが分かれるでしょうが、好きな方にはたまらないお話だと思います。

(2013年11月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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