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豚がつづる読書ブログ
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★★★

「罪はまっとうに裁かれるべきだ」がモットーのヤメ検弁護士・佐方貞人。

彼が弁護することになったのは、ホテルの一室で起きた刺殺事件の被告人。
物的証拠・状況証拠共に被告人の有罪はほぼ確実だったが、佐方はそれを覆せる勝算があった。
はたして佐方は事件の裏側に隠された真相に辿り着けるのか。

物語は、刺殺事件の裁判と交通事故で子どもを失った夫婦の話が交互に語られていきます。
少しずつ真相に迫っていく展開にはどきどきさせられました。

公判の最終日まで被告人と被害者が明らかにされない点は最初から不自然さを感じ、ラストまでの展開が見えてしまいました。
このミスリードはバレバレなのであまり効果的ではないと思うのですが、人間ドラマの方に主眼が置かれているので問題ありません。

そんなミステリ的な仕掛けよりも、子どもを奪われた親の苦しみや行き場のない怒りの方に心を揺さぶられます。
罪は罪として、まっとうな手続きや手段によって裁かれるべき、という佐方が提示する「正義」についても、そのブレない姿勢は心に響きました。

裁判描写にはいろいろアラがありそうな感じですが、ぐいぐい引っ張る圧倒的なリーダビリティと読者の魂をガンガン揺さぶる情感描写テクニックが半端ないので次の作品も読んでみたい、と思わせてくれるお話でした。

(2019年4月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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