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ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫) 三上 延 アスキー・メディアワークス 2011-10-25 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
退院した栞子の元で、再び働くことにした大輔。
店に持ち込まれる古書にまつわる謎を、二人が丁寧に解き明かしていく。
今回は栞子の母親に対する確執が明らかになり、古書を巡る事件の連作と絡むかたちでそれが語られていきます。
『時計仕掛けのオレンジ』、『クラクラ日記』など、今回も実在の古書にまつわる興味深い謎が紐解かれていくので、読後にはこれらの作品を読みたくなりました。
栞子と大輔のもどかしい関係も、今後どうなっていくのか気になります。
古書を間に置いたその関係は、二人の目線が違うというか、温度差があるので進展しなさそうではありますが…。
(2012年11月読了)
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫) | |
三上 延 アスキーメディアワークス 2011-03-25 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
北鎌倉でひっそりと営業をしている古書店「ビブリア古書堂」。
店主の栞子のもとには、古書にまつわる謎が次々と舞い込んでくる。
本が読みたくても読めない大輔はひょんなことからこの店に勤めることになり、持ち込まれる奇妙な謎を解いていくことに…。
古書をネタにした安楽椅子探偵ミステリなのですが、出てくる本の内容とそれにまつわる人々の物語がうまく結びついて描かれるのが何とも心憎く、結構読みごたえがありました。
取りあげられる作品は寡聞にして知らないものばかりでしたが、本の虫の栞子さんが丁寧に解説してくれるので問題ありません。
本が好きでなくても楽しく、本好きならより楽しめること請け合い。
「人の手を渡った古い本そのものにも物語がある」と文中で語られるんだけど、何より、作者の本に対する思いが伝わってくるのがいい!
ただ、細かいツッコミどころはたくさんあるし、主人公たちの心情が書きこまれずに物語が進んでいくのでキャラがどうも薄っぺらい気がする…。
まあ、本にまつわる人々の物語が濃いので、これはこれでバランスが良いのかもしれません。
(2012年11月読了)
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド) 皆川 博子 佳嶋 早川書房 2011-07-15 売り上げランキング : 66004 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
舞台は18世紀のロンドン、医療のための解剖など異端扱いだった時代。
外科医のダニエルの解剖教室では、解剖するはずだった妊娠六ヶ月の女性の遺体が消え、代わりに四肢を切断された少年と顔を潰された男性の遺体が見つかった。
増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、盲目の判事は捜査協力を要請する――。
皆川作品らしい耽美的・幻想的なゴシックミステリ。
冒頭の弟子たちのユーモアとウィットに富む軽口の応酬が、するりと物語の世界に没入させてくれる。
たたみ掛けられ、二転三転する謎が精緻に盛りこまれ、読みだしたら止まらない。
一筋縄ではいかない登場人物たち、気持ちよく読者を騙すテクニック、どれも皆川さんの平常運転といった感じです。
また、時代背景や風俗がリアルに描きこまれているので、社会の不条理に翻弄される若者たちの苛立ちや諦観もダイレクトに伝わってきます。
ユーモアがあるからこそ過酷な現実に対峙できる、そんな力強さを感じることのできる作品です。
それにしても、80代でこれを書くなんて!
長生きしてね、皆川さん。
(2012年5月読了)
モーツァルトは子守唄を歌わない (fukkan.com) 森 雅裕 ブッキング 2005-12 売り上げランキング : 90450 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
18年前に夭逝したモーツァルトが遺した子守唄の楽譜を手にしたのをきっかけに、その不可解な死の真相を探りはじめることになったベートーヴェンとチェルニー師弟。
しかし、周囲では殺人事件が続発し、調査を潰そうとする圧力も加わっていく。
楽聖の死にまつわる陰謀は明らかとなるか。
舞台設定、人物造形、構成力とどこをとっても文句なしの作品。
さすが乱歩賞受賞作です。
なんといっても、ベートーヴェンがモーツァルトの死の謎を解き明かす、という発想がユニーク。
海外小説の登場人物の名前が覚えられない私でも、馴染み深い彼らのお話に、すんなりと読め進めることができました。
ベートーヴェンとチェルニーの師弟の掛け合いは軽妙洒脱そのもの。
上質のウィットで、物語世界に没入させてくれます。
巧妙に仕掛けられた伏線や時代を反映したトリックも楽しく、最後までわくわくしながら読みました。
(2012年5月読了)
花宵道中 (新潮文庫) 宮木 あや子 新潮社 2009-08-28 売り上げランキング : 7702 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
人買いに売られて、春を売らねばならなかった女たち。
年季明けを夢見、毎夜男たちに抱かれながら、花火のように儚い命を散らしてゆく。
吉原で生きる遊女たちの恋を描いた連作集。
叶わぬ恋にからめとられ、逃れようともがけばもがくほど、増す痛み。
まだ愛に脅かされる事を知らぬ、無垢な強さ。
禁忌と抑圧あってのエロス。
胸をかきむしられるように切なく、悲愴なお話ばかり。
でも不思議と読後感が悪くないのは、ままならぬ恋に身を焦がす遊女たちの気持ちに絡めとられ、感情を思い切り揺さぶられるから。
構成や語りも巧く、するりと物語世界に没入してしまいます。
これでデビュー作なんて、末恐ろしい。凄い。
R-18文学賞受賞作だそうですが、R-18という名のとおり子どもには読ませられないお話。
それは官能表現が激しいからではなく、ここに記されているのが子どもには理解できない大人の恋だから。
(2011年7月読了)
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大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。