豚がつづる読書ブログ
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貴族探偵対女探偵 (集英社文庫) 麻耶 雄嵩 集英社 2016-09-16 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
貴族探偵シリーズ第2弾。
使用人たちに推理をさせる優雅な高等遊民「貴族探偵」に、新米女探偵高徳愛香が果敢に挑む。
事件を解決できるのは、果たしてどちらか。
推理などという〈雑事〉はすべて使用人任せという斬新な探偵ミステリですが、この続編では女探偵との推理バトルものとなっています。
行く先々で事件に遭遇する女探偵が誤った推理をし、ことごとく貴族探偵(の使用人)に真相を喝破されるという毎度のお約束展開にちょっと冗長を感じつつも、凝った説がいくつも披露される推理合戦は単純に面白かったです。
ものすごいトリッキーな趣向を取り入れたお話もあり、無理矢理な推理と感じてしまうお話もあり、中々アクロバティックなミステリ短編集でした。
論理的な推理をぞんぶんに楽しめるという点では素晴らしい作品です。
推理などという〈雑事〉はすべて使用人任せという斬新な探偵ミステリですが、この続編では女探偵との推理バトルものとなっています。
行く先々で事件に遭遇する女探偵が誤った推理をし、ことごとく貴族探偵(の使用人)に真相を喝破されるという毎度のお約束展開にちょっと冗長を感じつつも、凝った説がいくつも披露される推理合戦は単純に面白かったです。
ものすごいトリッキーな趣向を取り入れたお話もあり、無理矢理な推理と感じてしまうお話もあり、中々アクロバティックなミステリ短編集でした。
論理的な推理をぞんぶんに楽しめるという点では素晴らしい作品です。
推理には影響のない、脇役の妙なキャラ立ちも気になりました。
独特の味を醸し出している作家さんなので、たまに無性に読みたくなります。
(2017年9月読了)
独特の味を醸し出している作家さんなので、たまに無性に読みたくなります。
(2017年9月読了)
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貴族探偵 (集英社文庫) 麻耶 雄嵩 集英社 2013-10-18 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
自らは推理をしない貴族の探偵。
推理などという〈雑事〉はすべて使用人任せという、かつてない斬新な探偵ミステリ短編集。
探偵が趣味という貴族が主人公なので、最初は安楽椅子探偵ものなのかな?と思いきや、この貴族探偵、全く推理をしません。
執事やメイドなどの使用人に捜査や推理をすべてまかせ、彼のやることはその場で女の子を口説くことくらい。
本名も謎という存在自体がトリッキーな名?探偵のおかげで、物語の雰囲気もどこか空虚で絵空事のようです。
探偵が趣味という貴族が主人公なので、最初は安楽椅子探偵ものなのかな?と思いきや、この貴族探偵、全く推理をしません。
執事やメイドなどの使用人に捜査や推理をすべてまかせ、彼のやることはその場で女の子を口説くことくらい。
本名も謎という存在自体がトリッキーな名?探偵のおかげで、物語の雰囲気もどこか空虚で絵空事のようです。
そのためロジカルな謎解きもゲームのようで、ドロドロした動機から起こった殺人模様もなんだか乾いた味わいです。
一番面白かったというか、騙されたのは「こうもり」。
一番面白かったというか、騙されたのは「こうもり」。
作者はフェアな手を使って読み手を真相に導くための手がかりを提示するという、本格ミステリの条件をきちんと守っているのですが…。
フェアかどうかはギリギリの線だと思う…、でも面白かったです。
(2017年6月読了)
(2017年6月読了)
倒立する塔の殺人 (ミステリーYA!) 皆川 博子 理論社 2007-11 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
戦中から終戦後へかけての女学校を舞台としたミステリ。
空襲で家族を失った女学校の生徒・阿部欣子は、級友の三輪小枝からあるノートを渡される。
そのノートは表紙に「倒立する塔の殺人」と書かれ、数人の女学生の間で書き継がれた物語だった。
小枝にノートを託した先輩・上月葎子が空爆によって死んでしまい、未完となった物語を欣子の視点から解読して欲しい、と小枝は言う。
「倒立」とはいったい何なのか、上月葎子はなぜ死んだのか・・・。
作中小説と現実とが絶妙に絡み合う入れ子構造のミステリ。
入れ子構造というだけでも複雑なつくりになっているのに、語り手の欣子は手記を順番通りに読まないので、読者は頭がこんがらがってきます。
ノートに書かれた作中小説の「倒立する塔の殺人」があり、その小説を書いた少女たちの手記があり、さらにその外側にノートを読む欣子がいて…という入れ子の入れ子となっており、しかもそれぞれ謎が散りばめられています。
事実と虚構が絶妙に同居してて面白いのですが、情報を整理しキーとなる伏線を拾っていくだけで精一杯でした。
また、著者が実際に経験したのであろう戦禍の描写が生々しく、リアルでした。
空襲で家族や友人を次々と失い、死が日常となったことに麻痺してしまう少女たちが虚無感をつのらせていくさまは胸にこたえました。
閉塞的な状況の中、彼女たちは絵画や文学に耽溺したり、ワルツを踊ったり歌ったりといった密やかな楽しみを共有します。
制限されているからこそ、美に触れることで現実からの逃避をはかったり精神の均衡を保っているのかもしれない。
そんな彼女たちが哀れでしたが、人間の渇望に力を与える芸術の大きな力も感じました。
友人の死という物語を必死に紐解こうとする彼女たちには未来への希望も感じることができます。
ミステリの謎解きはよくわからなかったのですが、それだけに終わらない大きな物語世界を堪能できました。
(2016年12月読了)
ビブリア古書堂の事件手帖 (6) ~栞子さんと巡るさだめ~ (メディアワークス文庫) 三上 延 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-12-25 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
ビブリア古書堂シリーズ6作目。
ついに付き合うことになった五浦と栞子だったが、二人の前に因縁の男が再び現れた。
太宰治の『晩年』の異なるバージョンを捜すという依頼を受けた二人は本を追ううちに、二人は驚くべき事実に辿り着く。
四十七年前の太宰の稀覯本を巡る盗難事件の真実とは・・・。
今回は一冊まるごと太宰治がメインの回。
個人的には太宰は好きなので、太宰のトリビアについては読むのが楽しかったのですが、
古書にまつわる謎に加えて現在と過去の人間関係が複雑に絡み合い、中盤から読みにくくなりました。
話や関係性が入り組んでいるのに似たようなキャラクターが多く、こんなに複雑にする必然性も感じられません。
前回までは古書にまつわる謎を織り交ぜたミステリだったのですが、
今回は古書店を巡る人間関係がメインだったのでなんだかなー、って感じです。
北鎌倉周辺の古書愛好家の限られた狭い世界だけで人間関係・血縁関係が完結しているので
何だか読むのに息苦しくなってきました。
が、あと少しでシリーズも終わるようですので最後まで見守っていきたいと思います。
(2015年11月読了)
ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫) 三上 延 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-01-24 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
ビブリア古書堂5作目。
前巻でとうとう栞子に気持ちを伝えた大輔。
彼女の答えは今はただ待ってほしいというものだったが、またしてもいくつかの事件が起こる。
今回もいろんなうんちくが出てきますが、手塚治虫のエピソードが面白かったです。
「ブラックジャック」をまた読み返したくなる人が多いんじゃないかなあ。
それにしても、栞子の母・智恵子は今回も不気味でおっそろしい。
誤解ゆえに起こった知人の家庭の不協和音を、智恵子は知っていて長年放置してたようなのですが、自分の目的のためならば他人はどうなってもいいという感覚がすごく怖い。
栞子は将来母親のようになってしまうのではないかと不安がっているようですが、大輔がいるから大丈夫ですよね。
プロローグとエピローグの叙述トリックばりの対比にニヤリとさせられましたが、ラストではまた不穏な展開になって次作が待ち遠しくなりました!
(2014年8月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
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