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豚がつづる読書ブログ
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深泥丘奇談 (MF文庫ダ・ヴィンチ)深泥丘奇談 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
綾辻行人

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★★★

推理小説作家が、体調に不安を覚えて訪れた深泥丘病院。
そこでは、同じ顔をした医者たちや不可思議な現象が待ち受けていた…。

ホラー小説だと思って読み始めたが、そんなに怖くない。
むしろ不思議な、謎めいた味わいのお話の多い連作集。

何しろ、連作が進むにしたがって主人公の作家は奇妙な出来事をどんどん忘れていくので、どう解釈していいのか、読み手としては途方に暮れてしまう。

恐怖を直接的に提示するのではなく、恐怖の周辺を描いて読み手に想像させるという演出方法を取っているので、じわじわとくるものがあった。
ミステリ要素は無いけども、ミステリ的な技巧が凝らしてあるので、意外と読みごたえがあったと思う。

(2012年2月読了)

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★★★★

公武合体を図るため、崩落寸前の徳川幕府へ降嫁した皇女和宮は、「実は替え玉だった」という仮説をもとに書かれた小説。

替え玉にされたフキやその周辺の人々に寄り添う著者の筆は常に冷静で、異常な状況に置かれた人々の人間的な感情や非情な運命を書ききっている。

事態を飲み込めないまま、時代の波に翻弄された、無力な無名の人々。
人間の歴史が続く限り、こういうことは繰り返されるのだろう。
自分で選びとった生き方を生きる喜びは何物にも代えがたい、と改めて噛みしめる。

(2011年8月読了)

★★★

小学校の同窓会三次会。四十歳になる男女五人が、同窓会に遅れた同級生の田村を待つ。
待ちながら、五人の過去がそれぞれ回顧され、話がひと区切りつくたびに呟かれる「田村はまだか」。

彼らのエピソードはどこでもあるようなささやかな出来事だったりするけども、人生も半ばに差し掛かった彼らの悩みや諦めが、読み進めてゆくうちにボディブローのようにじわじわとこちら側を刺してくる。

去来する思いの行く先を、現れない田村に託して待ち続ける。
田村はこのまま現れないのではないか…と思った矢先、怒涛の結末。

いつのまにか聞き役のマスターまで田村を待っているのがおかしい。

(2011年6月読了)

★★★★

夫の不倫に動転した妻は、相手を殺害してしまう。
しかし、殺したのは本当に夫の愛人だったのか?
完全犯罪の結末に待っていたものとは…。

ありがちな不倫殺人ミステリーかと思いきや、予想もつかない展開に最後まで飽きさせず、一気に読んでしまいます。

松本清朝ばりの美しい悪女と執念の刑事の構図が見事で、読みごたえがありました。

(2010年5月読了)
★★★★

ニュータウンで起こった猟奇殺人事件の犯人は、13歳の少年だった。
家族が崩壊し、学校でも居場所が無くなった兄は、弟が事件を起こした動機を探ろうとする。

神戸の酒鬼薔薇事件に材を得て描かれた作品。
加害者の家族にスポットを当てるという、デリケートな問題に迫った点は、当時としてはとても新鮮だったと思う。

少し現実味に乏しいストーリー展開だなーと感じたが、時として現実は小説の斜め上を行くこともあるので(特に最近の少年犯罪は常識を凌駕した事件もあるし)、ある意味リアルかもしれない、と思った。

作者の願望なのかもしれないが、救いのあるラストが良い。

(2009年7月読了)
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プロフィール
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sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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