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豚がつづる読書ブログ
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土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫) 土蛍: 猿若町捕物帳 (光文社時代小説文庫)
近藤 史恵

光文社 2016-03-11

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★★★

猿若町捕物帳シリーズ5作目。

長屋の大家に店子の諍いを仲裁して欲しいと千蔭が頼まれていた矢先、大家が殺されてしまうという「むじな菊」、髷を切られるという事件が続発する「だんまり」、中村座の人気役者の弟子が自殺し、そして同時に梅が枝の身請け話が持ち上がるという「土蛍」、人生貧乏くじばかりだった男が頼まれた富くじを買った後死んでしまった謎を解く「はずれくじ」の4編を収録。

くどくどとした描写は全くないのに、人物のさりげない言動や所作から行間を読ませる手法で、その者の特徴や性格を見事に表現するという筆力。
その上、テンポ良く動きのある場面と静謐なそれが物語に緩急のリズムを作っているところも読みやすさを助長しています。

今までのシリーズ同様、事件の裏に垣間見える人間の業の深さにはやるせなくなります。
千蔭にとうとう年の離れた妹ができるのですが、赤ちゃんの無垢な様子が事件と対比していて、人間の欲望の果てしなさがより際立っていると思いました。

ほんとに、必要以上に求める人の飽くなき欲望っていらぬ苦しみを招く悪の元だなーとしみじみ考えさせられました。
いっとき欲望が満たされて満足しても、すぐに足りなくなってまた欲求が止められなくなるという人間の本能的なサガが怖くなります。
足るを知るって大事だよな・・・と読後に痛感しました。

(2017年2月読了)
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読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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