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豚がつづる読書ブログ
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★★★★

自分の存在しないパラレルワールドへと迷い込んでしまったリョウ。
生まれなかったはずの姉が存在するこの世界では、元の世界とは様々なことが微妙に食い違う。
二つの世界の「間違い探し」をしながらそこで3日間を過ごした彼は、ある事に気づく…。

冷えきった家庭で育ったリョウは、「どうしようもないことは受け入れるしかない」という彼なりの処方箋を持って生きている。
そんな彼がもう一つの世界で過ごすうちに気づいた事実には、読んでいて思い切り頭を殴られたようなショックを受けた。
姉の性格が物語を明るくしているが、それが一層、苦さを浮き彫りにしていて読むのが辛かった。

物語はラスト、割り切ることのできない苦さをもって幕が引かれる。
生きるということは、数多の分岐点で常に何かを選び取っていくものであり、その結果は自分で贖うしかないのだろうか。

かなり滅入るので、心が弱ってる時には読みたくない本。
ページを閉じても心に残り続ける本を傑作と言うならば、間違いなくこの小説は傑作だと思う。

(2011年3月読了)

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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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