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カンタベリー・テイルズ (講談社文庫) カンタベリー・テイルズ (講談社文庫)
真梨 幸子

講談社 2015-11-13

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★★★

4編からなる連作短編集。
パワースポットをモチーフに据えた短編集ですが、どの登場人物もパワーをもらうのではなく逆にパワーを奪われ誰も幸せにならないという、著者らしい毒がちりばめられたブラックな趣向となっています。
パワースポットなのにマイナスの効用があるという非常に後味の悪い短編集です。

各短編はキャラクターやエピソードがリンクしており、そのつながりに気づいた瞬間はイヤな汗をかきました。

一番印象に残ったのは表題作の「カンタベリー・テイルズ」。
イギリスのカンタベリー・テイルズに行く電車のホームで会った四人の日本人観光客が、成り行き上、到着までにそれぞれのとっておきの話をするというお話。
彼らが披露する怪談話や都市伝説めいた話はなんだかリアルで、日常から逸脱した狂気に不安を覚えながらもワクワクしてしまいました。

ラストの短編「シップ・オブ・テセウス」も良かったです。
作中の登場人物が書いたという作中作なのですが、いつもの女性たちの醜いドロドロ話ではなく、少年達が遺伝子操作に翻弄されるというSF仕立ての短いお話になっています。
諦念と虚無感にふちどられた抒情の豊かさがとても意外で、真梨さんってこんなお話も描くんだなあと新鮮でした。
こんな、気持ちが逆撫でされない真梨作品をまた読んでみたいです。

(2016年8月読了)
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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