豚がつづる読書ブログ
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★★★
恋愛小説家として成功した陽子は、幼い頃から、自分が辿るはずだったかわいそうな運命を生きるヨーコの夢を見ていた。
一方、夫と一人息子と共に暮らす陽子は、決して贅沢のできない毎日に嫌気がさしていた。
家も、職業も、生活も、全てが異なる二人の人生は絶対に交わることはなかったが――。
章ごとに小説家で独身のA面の陽子と、パート主婦のB面のヨーコのエピソードが交互に描かれていきます。
B面のヨーコの世界はA面の陽子の見ている夢という設定ですが、両方の世界に同一人物が登場し関係性も同じなので読んでいるうちに双方の比重が増してきてどちらが現実かわからなくなってきます。
しかも殺人事件まで起こりA面とB面の世界の境目に綻びが出始め…読み手は混乱の渦に落とされた気分に。
女性同士の妬み嫉みやマウンティングも読みごたえがあり、もしあの時違う道を選んでいたとしたら…と自分に当てはめて考えることもでき、いろんな角度で楽しめる作品でした。
(2020年12月読了)
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★★★
激レア犬を飼いたい、盗聴器が仕掛けられていないか調査してほしい、愛人と妻が鉢合わせしないためにマンション購入を諦めるよう妻を説得してほしい等々…。
お客のご用命とあらば無理難題でも何でも承る、万両百貨店外商部のお仕事イヤミス短編集。
真梨さんの最近のイヤミスは、無理矢理人間関係を繋げてラストに持っていくけど謎解きがショボくて尻すぼみ感のある作品が多かったように思います。
でもこのお話は、連作短編で共通の登場人物たちも登場しますがそんなにこんがらがることもなく、軽快なお仕事イヤミスという感じでサクッと読めました。
フィクションとしての大げさ感はあるけど外商部の仕事内容や百貨店の裏側が書かれていて興味深かったし、ブラックだけどもくすっと笑っちゃうような人間模様も読んでて楽しかったです。
グロテスクさとユーモアのバランスが取れてて読みやすく、何も考えずに楽しめます。
(2020年12月読了)
★★★
ゴーストライターの名賀尻はAV業界をテーマとした原稿の依頼を受け、複数のAV女優へのインタビューを行う。
だが、取材した女優たちが次々と謎の死を遂げ、彼は罠にはめられ警察に追われることになってしまう。
事件の裏にはアルテーミスの采配というウェブサイトがあった…。
前半は名賀尻が取材したAV業界に身を投じた女性たちの転落人生が詳細に語られ、後半は名賀尻の失踪後、彼の原稿を読んだ女性が謎を探っていくという流れになっています。
AV業界の仕組みと実態、そしてブラック体質が赤裸々に語られるのでかなりエグい読み心地でした。
女性を女優に堕とすためのえげつない手口、低賃金かつ肉体労働の過酷さ、グレーゾーンの業界体質ゆえ救済措置は皆無という容赦の無さ…
小説ですが、著者は取材もしているので多少真実も反映しているんでしょうね~。
男性の性的欲望を満たすためだけに存在する業界のおぞましさには、吐き気をおぼえました。
また、視点がどんどん変わり、誰の視点で語られているのかわからないモノローグが重なり合って物語が進んでいくため、読み手は混乱させられます。
事件の全貌が把握できないまま最後までストーリーが疾走していくのでゾクゾクするやら目まぐるしいやら、何が何だかわからない 笑。
最終的にはうまくまとまるけど、破綻もあるし、大したトリックも無い気がするし、尻すぼみ感が半端ない。
刺激的な題材を扱ってるだけで、ご都合主義感満載の物語には面白みを感じなかったです。
もっと作者の悪だくみに翻弄されるような、凝ったイヤミスが読みたい!!
(2019年11月読了)
★★★
イヤミスばかりを集めた全6編の短篇集。
思ったよりも後味の悪いエグさは控えめでしたが、血なまぐさいグロい話も入っていたので苦手は方は注意。
印象に残った短編の感想をいくつか。
「小田原市ランタン町の惨劇」
ユタカの元を、別れた彼女の弁護士が訪ねて来る。
彼女は自宅でユタカとの子どもを産み、殺してしまった罪に問われているらしい。
ユタカは付き合った時期と妊娠の時期の計算が合わないことに気付き、惨劇が起こる…。
最初はブラックユーモアがきっついなーという印象でしたが、読み進めていくうちにボタンの掛け違いから起こる諍いにゾッとしました。
こういう事件は本当にありそうで怖い。
「ネイルアート」
常に炎上状態の育児サイトの管理人の依頼を受けたフリーライターの主人公。
多額の報酬に目がくらみ仕事を受けるが、彼女が遭遇した真実とは…。
ラストのオチよりも、ネットの匿名掲示板の本音バトルの闇の描写が面白かったです。
匿名なことを良いことに一人何役も演じて議論を煽ったり、過激なことを投稿して火種を次々と投げ込んだり。
容赦のないナマの人間の負のエネルギーを全身に浴びて、ほんとイヤな気分。(褒めてますよ!)
人間のむき出しの感情を虫眼鏡で拡大して見るようで、やたらと楽しい…。
(2019年4月読了)
★★★
大洋新聞に連載されている「よろず相談室」には老若男女から様々な相談が寄せられる。
「居候に悩んでいます」「しつこいお客に困っています」「隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです」等々。
一見なんの関連性もない人生相談の裏には、衝撃の事件が隠されていた!
通常営業の真梨幸子イヤミス劇場。
いっつも同じような構成なので、慣れてしまいました。
連作短編の中に伏線を張りまくり、それを最後に一気に回収し、物語の全貌が明らかになるという手法で今回も作られています。
通常営業の真梨幸子イヤミス劇場。
いっつも同じような構成なので、慣れてしまいました。
連作短編の中に伏線を張りまくり、それを最後に一気に回収し、物語の全貌が明らかになるという手法で今回も作られています。
各短編が意外な形でつながっていたり、複数の登場人物が同一人物だったり。
そのうえ時系列もシャッフルされているので読み手の頭は大混乱。
上手にまとめることができたら、最後にバラバラのパズルがきれいに嵌るカタルシスを得られ読後感もスッキリ…となるのですが、今作は失敗している気がします。
上手にまとめることができたら、最後にバラバラのパズルがきれいに嵌るカタルシスを得られ読後感もスッキリ…となるのですが、今作は失敗している気がします。
伏線回収から零れ落ちる謎も多いし、強引で脈絡のない展開には辟易させられます。
登場人物が多すぎて各人物の心情の深堀りが十分ではなく、さばききれていない。
こんな入り組んでいてややこしい話を書く熱量はすさまじく、最後まで一気に読んでしまうけども後に残るものは無いって感じ。
真梨さんは沢山書きすぎて燃料切れなのかな、と心配になりますがまた次作も読んでしまうと思います。
(2018年10月読了)
真梨さんは沢山書きすぎて燃料切れなのかな、と心配になりますがまた次作も読んでしまうと思います。
(2018年10月読了)
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sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
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