忍者ブログ
豚がつづる読書ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

マツリカ・マハリタ (角川文庫) マツリカ・マハリタ (角川文庫)
相沢 沙呼

KADOKAWA/角川書店 2016-08-25

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★

学校近くの廃墟ビルに住みつき、望遠鏡で学校を観察している謎の美少女・マツリカ。

彼女に命じられ、高校生の柴山は学校の怪談を調べていた。
『一年生のりかこさん』という、過去に飛び降り自殺をしたという少女の霊にまつわる噂を追いかけるうちに、柴山はある真実に辿り着く・・・。

前作同様、学校の怪談を調べていく中で出会う「日常の謎」をマツリカと柴山が解決するという話の流れになっています。

謎自体は小粒で、何気ない謎なのですが、真相には誰かのままならない思いがつまっていて、それが明らかになるたびにどうしようもない切ない気持ちに駆られました。
他人を羨む自信の無い自分に自己嫌悪を感じたり、楽しそうな周囲に入っていけず疎外感や引け目を感じたり。
そんな葛藤や逡巡は誰もが覚える感情だと思いますが、読んでいて胸が締め付けられました。

また、傷つきたくないあまりに他人と距離を置いてしまう自意識過剰な柴山が、謎の真相につまった誰かの気持ちに触れるたびに少しずつ変わっていきます。
自分が周囲に受け入れられていると感じたり、他人も同じような孤独や悩みを抱えているんだと理解できると、おのずと自分から心を開いて他人を受け入れるようになるんですね。
そうなると友人と呼べる人間関係が彼の周りにできるようになって、逆にマツリカの存在感が前作よりも弱くなりました。
マツリカは虚像めいていて、柴山の妄想というか、孤独の象徴をあらわしているので、柴山に友人ができると造形が薄くなるんですね。
しかも、今までマツリカに助けられるばかりだった柴山が、最後の章ではマツリカを助ける側となり、彼の成長がより明確なものとなりました。
柴山の成長と相反するマツリカの存在意義。
そんな二人の関係がどうなっていくのか、次作が楽しみです。

相変わらず柴山の性的妄想描写がねちっこくて気持ち悪かったですが・・・それを煽りまくるマツリカさんもどうなんでしょう。
女性に嫌われるタイプの女性なのかなあ。読んでいてあまりいい気持ちはしないよね。

(2018年5月読了)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新TB
プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析

Copyright © [ 豚は無慈悲な夜の女王 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]