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豚がつづる読書ブログ
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白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫) 白ゆき姫殺人事件 (集英社文庫)
湊 かなえ

集英社 2014-02-20

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★★★

地方の化粧品会社の美人OL・三木典子が、惨殺され黒焦げ死体となって発見された。
同時期、典子と同期の城野美姫が母親が危篤だと嘘をつき失踪。
典子の後輩から週刊誌ライターの赤星は情報提供を受け、関係者への取材を進めていくが・・・。

関係者たちのそれぞれの視点によって、事件や容疑者の城野美姫の人間性が浮かび上がっていくという芥川の「藪の中」式ストーリー。

話自体はありがちで目新しさが無いのですが、週刊誌のゴシップを読んでいるかのように下世話なのぞき趣味的に楽しんで読みました。

謎の真相や動機もショボく「偶然の要素に頼りすぎでは?」とツッコみたくなるのですが、この物語のキモはそこにはありません。

本来なら多面的でいろんな面を持つはずの人間が、ひとたび容疑者扱いになると、周囲の人間の悪意によって単一的な見方で捉えられ、マスコミやネットの匿名によって圧倒的な速さで伝播していく現代的な怖さを、この作品は教えてくれます。

ライターが誘導尋問したり強引に煽ったりして関係者達を取材していくのですが、そこで語られる城野美姫の姿は関係者たちによって無責任に作り上げられた「虚像」なんですね。

事件とは関係のないエピソードも事件と関連付けてマスコミやネットによって拡散し、情報だけが独り歩きしていく。
その様子がかなりリアルで、本当に取材を受けたら自分も面白おかしく言っちゃうかも…と思ってしまいました。

いつものように、人間不信になりそうなイヤミスでした。。

(2016年7月読了)
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読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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