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豚がつづる読書ブログ
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シャイロックの子供たち (文春文庫) シャイロックの子供たち (文春文庫)
池井戸 潤

文藝春秋 2008-11-10

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★★★

東京第一銀行長原支店で働く銀行員たちを主人公とした10編の短編集。

短編は主人公が異なり、10人のそれぞれの視点から銀行と言う仕事の日常やトラブルが描かれています。

銀行独特の厳しい社内規定やノルマに追いつめられたり、出世コースから外れて悩んだりする登場人物たちを見ながら「銀行なんて就職するもんじゃねえな…」と辟易しながら読み進めていきました。
すると一話完結型の短編かと思いきや、中盤以降、百万円の現金紛失事件をきっかけたとしたある一つの犯罪が浮かび上がってきて、ページをめくる手が止まらなくなります。
このあたりの情報の出し方がうまくて、抜群のリーダビリティでしたねー。さすが池井戸さん。

思ってもみなかった事実の反転には驚かされ、終盤の展開にもワクワクさせてくれました。

銀行内部でのダイナミックな事件だけではなく、人間関係的なところでも読ませてくれます。
短い一編の中で、登場人物たちの今に至る来歴や事情が簡潔かつ丁寧に語られ、家庭を持つ等身大の個人としても活写されてます。
そういう補助線がちゃんと刻まれているので、一人の立体的な人間像が立ち上がり、読み手は共感しておのずと彼らの感情に寄り添うことができるんですね。
100%悪い人間も出てこないのでとてもリアルでした。

ラストもちょっとモヤモヤしましたが・・・でも面白かったです。
こういう余韻の残る終わり方もたまにはいいと思いました(某作家みたいに、毎回はイヤだけど!)。

(2015年6月読了)
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読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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