豚がつづる読書ブログ
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
白の祝宴 (逸文紫式部日記 ) 森谷 明子 東京創元社 2011-03-24 売り上げランキング : 219426 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
「千年の黙」に続く平安朝ミステリ絵巻の第二弾。
女房たちが記した中宮彰子の出産の記録をまとめてほしいとの要請にこたえ、再出仕した香子(紫式部)。
その中宮の屋敷に逃げこんだ手負いの賊の行方を、式部と侍女の阿手木の探偵役コンビが解き明かす。
盗賊事件の謎を縦軸、「紫式部日記」の成立過程と隠された謎にまつわる物語が横軸となっています。
縦軸のミステリについては、多くの伏線が無駄なく有機的に結びついていて、見事に結論へと導かれます。
人の機微を客観的に眺めることのできる紫式部ならではの視点に唸らされました。
若宮誕生の祝宴の影には、様々な思惑や閉塞感あふれる女性の世界が垣間見え、読みごたえがありました。
前作では少女だった阿手木が、夫の義清と夫婦として絆を深めていく様子にもほろりとさせられます。
そして、横軸である「紫式部日記」の謎。
千年も物語が語り継がれてきた理由が明らかになる時、不自由でままならぬ世を生きる無名の女性たちへ投げかける作者の温かい眼差しの存在を感じ、胸が熱くなりました。
後の世まで読み継がれた物語の歴史は、読み手の生きる力となってきた歴史でもあったという物語の広がりに、いつまでも深い余韻が胸に残りました。
(2011年12月読了)
PR
この記事にコメントする
カレンダー
11 | 2024/12 | 01 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |
カテゴリー
最新CM
[12/07 本が好き!運営担当]
[12/24 本が好き!運営担当]
[05/06 ハットリ]
[04/21 豆餅]
[02/27 survey cash]
最新記事
(06/22)
(01/29)
(01/21)
(01/07)
(06/19)
最新TB
プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
ブログ内検索
最古記事
(05/15)
(05/15)
(05/16)
(05/16)
(05/17)
カウンター
アクセス解析