豚がつづる読書ブログ
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聖なる怠け者の冒険 (朝日文庫) 森見登美彦 朝日新聞出版 2016-09-07 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
主人公は京都の化学研究所に勤める社会人二年目の小和田君。
彼は「何もしない、動かない」ことをモットーとし、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら「将来お嫁さんを持ったら実現したいことリスト」を改訂して夜更かしをすることが唯一の趣味。
狸の仮面をかぶった正義の味方・「ぽんぽこ仮面」は小和田君に目を付け、自分の後継者になることを強要する。
小和田君、その先輩の恩田さんと彼女の桃木さん、ぽんぽこ仮面を探す浦本探偵とその助手玉川さん、ぽんぽこ仮面を追う謎の組織などが絡み合い、京都の宵山の夜の果てしなく長い追いかけっこが始まった―。
面白かった・・・けど、このお話、単体で読むと何のことやら訳がわからないかもしれません。
作者の他の作品である「有頂天家族」と「宵山万華鏡」とリンクしているので、そちらを読んだほうが倍たのしめます。
この本だけ読んでも面白みが感じられないという意味では、ファンに向けたサービスのような趣向なのかな、と。
モリミーワールド初心者にはちょっと不親切ですねー。
しかしキャラがとにかくいいんですよねー、面倒くさそうな人ばかり出てくる!
小和田君は主人公のくせに「谷川でじっくり冷やした地蔵のように」じっとして動かないし、
ぽんぽこ仮面はぽんぽこ仮面でいることに自家撞着しちゃってるし、
いかに充実した休日を過ごすかということに賭けている恩田先輩と桃木さんは部外者なのに真相に近づいちゃってるし、
探偵助手の玉川さんは一番エネルギッシュに動いてるのに方向音痴で迷いまくってるし、(しかし迷うことに身をまかせたら脱出できちゃうという力技が妙に意味深だ)
そしてそして、浦本探偵は明らかに狸の矢二郎っぽいし!!
物語は進むごとに混沌として、最後はしっちゃかめっちゃかに・・・。
終盤は少し雑なまとめかたのような気がしないでもないけど笑、ストーリーの筋をまじめに追うのではなく、宵山の怪しい夜を楽しむ雰囲気小説として、読むほうもゆるーく楽しむことが肝要だと思いました。
(2016年10月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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