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★★★★
親子間の禁忌の関係を描いた話。
顔をそむけたくなるほどグロテスクだと感じたのは、誰にでも親は存在するゆえに誰にでも起こりうることだということを白日の下にさらけ出されたからかもしれない。
親は子どもの永久機関であり愛情を与え合う、という親子関係ばかりではなく、淳悟と花のような奪い合う関係も存在する。
この血の鎖が連綿と続いていくと思うとおぞましくも美しく、ぞっとしない。
時系列をさかのぼって章を重ねるごとにヘビーな展開になっていくが、逆に世界の明度が上がっていくような、どこか透徹とした雰囲気をただよわせていく。
幾度も繰り返される北の海の描写がそう思わせるのかもしれない。
この厳しい海の描写は印象的で、すばらしく心にしみる。
結末に至った後に第一章のラストを読み返すと、喪失感で切なくなった。
(2008年2月読了)
中世のドイツ、魔女狩りの嵐の中、異世界の少女が空から降ってきた。
近未来のシンガポール、青年は絶滅したはずの「少女」と出会う。
そして現代日本、女子高生の末路について。
3つの箱庭にまつわる少女の物語。
時代によって概念が変わる、少女というクリーチャーについての考察が面白い。
近未来では、少女が絶滅し青年がその役割を担い、さらにその進化形として老人が浮上・・・というのが、何かリアルで。
SF小説だと思うと穴が多い気がするけど、そういう文脈で読むのではなく、まさに「少女」小説として読むのがいいかも。
裏設定がたくさんありそうだけど、書き込みすぎないのもいいと思う。
(2008年1月読了)
★★★★★5つ!
お嬢様学校・聖マリアナ学園。
この学園の異形の少女たちで構成される読書クラブが綴る、百年に渡る暗黒の裏史。
面白かった!!
古風で端正な語り口は、おにいさまへ・・・+ウテナ+萩尾望都なテイスト。
でも、荒唐無稽な設定をひたすら冷静に笑いのめしている感もあり、そんないびつな感じが少女性をよく表してる。
普遍的な少女のよるべなさ、逞しさ、鬱屈するリビドーをうまく書ききっている。
乙女による乙女のための、現代のエス小説です。最高。
(2007年9月読了)
★★★
酒乱の義父を殺すという設定は「青の炎」に良く似ている。
が、「青の炎」が少年らしく積極的な親殺しの話であるのに対し、こちらはただ強くて優しくなりたかっただけの少女が自分を取りまく世界に対して闘いを挑む物語となっている。
その少女が犯す殺人は、ふとしたきっかけで悪意を爆発させたに過ぎない。
等価交換方式に彼女が何を得て何を失ったかを考えると、身の毛がよだつ。
救いようがない話だが、少女の無力感に大いに共感した。
(2007年7月読了)
いんらんな母親から生まれた美しい少女、七竈の成長を描いた物語。
どろどろの人間関係てんこ盛りなのに、透徹とした物語の雰囲気が素敵。
小道具として赤いマフラーが出てきますが、モノクロの中に赤い色だけが浮かび上がるような美しさに、心動かされました。
一番印象に残ったのは、辻斬りのように男遊びがしたいと突如奔放になった七竈の母親のエピソード。
自分のこころのかたちを変えるために辻斬りをする彼女の気持ち、何となく理解できます。
(2007年5月読了)
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大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。