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★★★★
母のマコと娘のコマコ。
「手下はボスに絶対服従」。未熟なマコは不安な気持ちをコマコを虐待することでまぎらわせる。
それでもコマコにとっては美しいママは自分の全て。何の疑問もなく母を愛している。
いつまでも、ママのちいさな神のままでいたかった。
やがてはロードムービーのような二人の旅が終わり、コマコは一人で大人になってゆく。
しかし濃い血の鎖でつながれた関係は、母親を失っても続く。
大人になったコマコを追いつめ、また完全な破綻に至らずにぎりぎりまで支えているのはどちらも母親の呪いのような愛情によるものである。
「私の男」の父娘関係とは異なり、逆説的な共食い関係はいかにも母娘らしい。
コマコは物語ることで徐々に世界に目を向けてゆく。
母と過ごした幸福から立ち直ろうと、一人の人間となっていくコマコの様は、胸をしぼられる思いがする。
物語の持つ力を信じ命を削りながら書く彼女の姿勢に、作者本人の姿が重なり、その並々ならぬ覚悟に圧倒される。
すごい小説です。
(2009年4月読了)
★★★
セクハラ義父を弓矢で射抜き、逃亡者となった”ぼく”ことカナ。
逃亡先で全裸の美少女・白雪と出会い、ともに秋葉原を目指す。
あらすじを書くと痛々しく、「僕女か…」とぎょっとさせられるけど、桜庭さんの初期作品は、技巧よりも少女の無力感とか閉塞感をどうにかして書かなければいけない、という強い姿勢に惹かれるものがあります。
ラストが3種類用意されていて、結末を読者に委ねるのは普通は作者の怠慢としか思えないけど、ゲームみたいな話なので、マルチエンディングはこの作品には似合いで良い気がする。
(2009年3月読了)
★★★
やりたい放題(作家としていい意味で)な桜庭さんの日常の一端を垣間見ることができ、非常に面白かったです。
本能に忠実な桜庭さん、これからもお素敵な小説をガンガン描いてほしい!
(2008年11月読了)
★★★
格闘技をとば口にして、世界/自分に対して戦い抜く女の子たちの話。
桜庭一樹さんは女の子の閉塞感を描くのがうまいですね。
ガールズ脳が刺激されます。
(2008年5月読了)
★★★
その名の通り藻屑となった少女の末路と、もう一人の少女の絶望と希望についてのお話。
最初のページに結末が明示されているが、こんな陰惨とした話だとは思いもよらず、読後はしばらく呆然としてしまった。
藻屑との距離をはかりかねて、愛すべきか考えあぐねている不器用ななぎさが愛しい。
これからも彼女は生き続け、時には得たものと失ったものの数をかぞえながら大人になるんだろう。
10代の頃の「女こども」としての無力感を思い出し、やるせなくなった。
悲しすぎる。
(2008年4月読了)
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大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。