豚がつづる読書ブログ
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★★★
大学休学中の佐田はバイト先で不思議な事件の話を聞くが、実業家と名乗る猫とそれに仕える秘書兼運転手の男がその謎を容易に解いてしまう。
その後も佐田の行く先々で、次々と不思議な出来事と猫のニャン氏に出くわすことになるが──。
事件のあらましを聞いた実業家の猫のニャン氏がニャーニャーと鳴くと、秘書の丸山氏がそれを通訳して事件を解決に導くという風変わりな連作短編集です。
ふざけた設定ですが、日常の謎から密室殺人まで幅広い本格推理モノで、論理的な謎解きもしっかりしています。
派手さやケレン味はないけれど、きっちりと実直な謎解きは安心して読めました。
ただ、猫が名探偵というファンタジー設定がシュールすぎて、最後まで違和感がありました。
秘書の中年男性が通訳の際に語尾に「ニャ」をつけて話したり、猫が謎解きをすることを周囲の誰も突っ込まずに受け入れてたりして、そのリアリティの無さには首をかしげるばかりです…。
猫はただ鳴いてるだけで本当は秘書が名探偵なんじゃないかという疑問が最後までぬぐえず、肝心の謎にあんまり集中できませんでした。
まあ、幽霊や椅子に安楽椅子探偵をさせる作者なので、これもアリなのかな。
推理の途中で飽きて遊びの方に夢中になっちゃう、いかにも猫っぽい描写は可愛かったですが…。
(2020年1月読了)
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★★★
フリーライターの真以が仕事場がわりに通う東京郊外の寂れたファミレスには、名探偵のハルお婆ちゃんがいる。
真以に持ちこまれた風変わりな事件をたちどころに解決してくれるハルさんには、ある秘密が――。
「ハートブレイク・レストラン」シリーズの第三弾にして、完結編。
日常ミステリの連作短編集なのですが、謎は小粒で、ちょっと微妙。
中には少し毒気が含まれたお話もありますが、全体的には薄味です。
ハルさんの推理が当たっているかどうかも明かされない場合もあるので消化不良の感もあり。
でも、ミステリよりも、ほのぼのとしたハルさんや真衣の会話に何だか癒されます。
ハルさんだけではなく変わり者の女刑事・小椋さんや強面のファミレスの店長のキャラもいい味を出してるし。
彼らの会話を読んでいるうちに、自分もファミレスの末席で一緒に謎談議に参加しているような、そんなあたたかな気分になれるのです。
ラストのハルさんの言葉も、すごく良かった!
「さよならだけどさよならじゃない」なんて歌が昔ありましたけど、まさにそんな未来への展望が感じられるラストにはグッときました。
(2018年12月読了)
ハートブレイク・レストラン ふたたび (光文社文庫) 松尾 由美 光文社 2015-06-11 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
フリーライターの真以が通うファミリーレストランに出没する、ハルという幽霊のおばあちゃん。
客たちが持ち込む様々な大小の謎を、ハルお婆ちゃんはたちどころに解いてしまう―。
「ハートブレイク・レストラン」の続編。
久しぶりの続編だったので細かい設定は忘れてしまっていたのですが、真相を推理していくとともに人の心にそっと寄り添ってくれるハルおばあちゃんの暖かさは心地よく、読んでいてほっとしました。
事件とも呼べない一見ささいな出来事の中にも様々な思いが隠れていて、胸が揺さぶられます。
日常系ミステリに深く押しこまれた人間模様の綾が心に残る、印象的なお話ばかりでした。
(2015年9月読了)
煙とサクランボ (光文社文庫) 松尾 由美 光文社 2014-04-10 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
兼業漫画家の晴奈は幼い頃に起きた不思議な事件を行きつけのバーの常連である炭津に相談する。
店主の柳井の話によると、炭津は名探偵でもあるらしいのだが、果たして幼い頃の謎は解けるのか。
炭津の秘密に関しては序盤で明かされるのですが、趣向が変わっていて面白くなりそうな要素が
たくさんあり、期待感を持って読みました。
炭津の秘密に関しては序盤で明かされるのですが、趣向が変わっていて面白くなりそうな要素が
たくさんあり、期待感を持って読みました。
中盤はテンポよく進まず、少しダレた印象がありましたが、炭津の行動の制約という設定が
効果的に活かされていて中々読みごたえがありました。
ほろ苦く舌に残る幕切れが切なく、優しい気持ちになれる作品でした。
(2014年8月読了)
ほろ苦く舌に残る幕切れが切なく、優しい気持ちになれる作品でした。
(2014年8月読了)
★★★
ひと夏の家庭教師アルバイトのために、別荘地に赴いた高校2年生の信乃。
バイト採用の条件とは、怪物「モーリス」が見えること。
最初はとまどった怪物や生意気な少女の存在も、次第に受け入れていく信乃。
そこで起きた殺人/死体消失事件。
犯人は、はたして人くい鬼モーリスなのか?
ミステリーとファンタジーの融合具合がちょっとぎこちなく、完成度が甘い感じ。
ラストは少しあっさりしているけど、温かく、切ない。
人は、大人へと育てられながら、世界の明度を下げていくのかもしれません。
(2009年10月読了)
ひと夏の家庭教師アルバイトのために、別荘地に赴いた高校2年生の信乃。
バイト採用の条件とは、怪物「モーリス」が見えること。
最初はとまどった怪物や生意気な少女の存在も、次第に受け入れていく信乃。
そこで起きた殺人/死体消失事件。
犯人は、はたして人くい鬼モーリスなのか?
ミステリーとファンタジーの融合具合がちょっとぎこちなく、完成度が甘い感じ。
ラストは少しあっさりしているけど、温かく、切ない。
人は、大人へと育てられながら、世界の明度を下げていくのかもしれません。
(2009年10月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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