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豚がつづる読書ブログ
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★★★

夏流(かなし)に転校してきたミチル。

転校が六月という中途半端な時期だったのと内向的な性格のため、友達が出来ないまま夏休みを迎えたが、彼女のもとに奇妙な「林間学校」への招待状が届く。
呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城で、ミチルと5人の少女たちは不思議な夏休みを過ごすことになる…。

講談社のミステリーランドシリーズの配本なので子ども向けの小説ですが、往年の恩田陸の味付けがなされた、ザ・恩田ワールドなお話でした。
物語を包むノスタルジックで不穏な空気、謎を煽りまくる思わせぶりな演出、静謐で賢い主人公が直面する物悲しい真実。
まさに「恩田さんのいつものやつ」、久しぶりに読んだ気がするわ~!

作品の冒頭、全身緑色の謎の「みどりおとこ」が現れ主人公に迫るところから物語はスタートします。
夏の城に集められた少女たちは、水路に流れる花を観察し記録する、鐘が3回鳴ったらお地蔵様の所に集まる、などの妙なルールを課せられ、隔離された共同生活を送ることになります。
何も知らされていないミチルと同じ視線で読者は物語を進んでいくので、ミチルの不安が直に伝わってきてドキドキさせられました。
稲穂の海の中で停まった列車から飛び降りる場面や水路に流れる花の情景が醸し出す美しくも儚い雰囲気がより物語を謎めいた混乱に導き、最後はどうなるんだろうとページを繰る手が止まりませんでした。

ラストは、子どもには容赦が無くシニカルな方向へ。
何かを失ったけど、同時に何かを得た少女たちの姿が清廉で切ない、印象的なラストでした。

(2019年2月読了)
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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