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花の下にて春死なむ (講談社文庫) 花の下にて春死なむ (講談社文庫)
北森 鴻

講談社 2001-12-14

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★★★★

三軒茶屋にある小さなビアバー「香菜里屋」。

客によって持ち込まれるさまざまな謎を、マスターの工藤が鋭い推理と穏やかな語り口によって解いていくという安楽椅子探偵形式の連作短編集。

一番良かったのは、表題作「花の下にて春死なむ」。
孤独死をした老俳人の片岡草魚は戸籍を持っておらず、過去や身元が一切不明だった。
俳人仲間の飯島七緒は、片岡との会話や残された日記を手がかりにして彼の故郷を探し始めるが…というお話。

片岡草魚の知られざる過去をあぶり出していく鮮やかな展開もさることながら、心の柔らかいところをそっと触れられたような静かな読後感が印象的。
どちらかというと謎解きよりも、ままならない人生の悲しさと温かさを同時にすくいとることに重きを置いているように感じました。

また、推理はするものの真実が最後まで明らかにならない短編もいくつかあります。
憶測で終わっているので正直ちょっとモヤモヤしましたが、推理は推理であって人を不幸にするために推理をするわけではないとマスターは考えているのかなと思うと、納得できましたね。想像ですけど。

「香菜里屋」に行ってマスターに話を聞いてもらい、彼の作った料理を食べてみたい・・・。
この作品を読んだら、誰もがそう思うんじゃないかな。
美味しそうな料理とマスターの巧みでさりげない謎さばきを肴に一杯やってみたいものです。

(2017年6月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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