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豚がつづる読書ブログ
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七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫) 七色の毒 刑事犬養隼人 (角川文庫)
中山 七里

KADOKAWA/角川書店 2015-01-24

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★★★

犬養刑事が登場する七編の短編集。

タイトルの「毒」の通り、各短編にひねりのあるどんでん返しが仕込まれています。
読者に小さな驚きを投げかけて最後にはうまく収束させていく手腕はいつもながら感心したのですが、推理を絞り込んでいく過程でのロジックがちょっと甘くて、連作集ならではの大オチに驚きがなかったです。

(2015年8月読了)
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静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫) 静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)
中山 七里

文藝春秋 2014-11-07

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★★★

警視庁捜査一課の葛城公彦は、かつての上司が同僚を殺害した容疑で逮捕された事件を解決する。
しかし、事件の謎を解いていたのは過去に事件で関わった女子大生の円とその祖母・静だった。
ふたりの恋が進展する中、葛城は円の両親が亡くなった交通事故を洗い直して真相を解明していく。

軽めの謎を解決していくミステリ連作短編集なのですが、元裁判官のおばあちゃんが語る組織論や正義論がいちいちまっとうなので読んでいて大いに頷き、スカッとしました。

捜査状況を素人の女子大生に喋りすぎとか、急展開な恋模様にびっくり、とかいろいろ思うところはありますが、エンタメ小説としての魅力を損なうことなく、社会派としての面白さも兼ね備えたお話でした。

(2015年9月読了)
切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫) 切り裂きジャックの告白 刑事犬養隼人 (角川文庫)
中山 七里

KADOKAWA/角川書店 2014-12-25

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★★★

東京・深川警察署と目と鼻の先にある公園でほとんどの内蔵が持ち去られていた無残な死体が発見される。
事件から間もなくテレビに「ジャック」を名乗る人物からの犯行声明が送られてきた。
十九世紀の切り裂きジャックを想起させるその行動はマスコミの扇動的な報道によって発表され、動揺した国民たちは警察に非難を浴びせる。
そして第二、第三の事件が発生し、捜査一課の犬養たちは事件の背後に臓器移植が関係することを突き止めたが―。

臓器提供の是非を考えさせられる、社会派ミステリ。

日本における臓器移植の現場が抱える問題が興味深く、ドナーやレシピエントの苦悩や葛藤にも言及していて知的好奇心が刺激されました。
自分や家族が脳死に至ったらどうするだろう、と想像しながら読み進めたのでかなり引き込まれました。

スピーディーな語り口と山場だらけの展開に手に汗握りましたが、ツッコミどころもたくさんあったような・・・。

切り裂きジャックをモチーフにしたもののそれを活かしきれていないし、ミスリードを誘う手口は紋切り型でバレバレだし、ステレオタイプな登場人物は魅力が感じられない。
読み終えた後にハテナ?と思う点が多くて、ちょっと話のたたみ方が雑だと思いました。

(2015年7月読了)
連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫) 連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
中山 七里

宝島社 2011-02-04

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★★★★

入居者の少ないマンションで発見された、口にフックを掛けられ吊るされた女性の全裸死体。
傍らには、子どもが書いたような稚拙な文章の犯行声明文が残されていた。
証拠がほとんど残されておらず警察の捜査が難航する中、第二・第三の事件が起こり街中は恐怖と混乱に陥った―。

面白かった!

エンタメ性抜群。
刑法39条問題や群集パニック心理、警察批判まで幅広い社会の構造問題を下敷きとしていますが、それらに深く踏み込まず、エンタメ性に専念してるのが凄いです。
書く方としてはそういう問題を追及してしまうと筆が滑りがちになり、結果、ミステリとしての主題がブレたり無駄に読み口が重くなったりして読みにくくなっちゃうと思うのですが、この作品は処女作なのにそんなこともなく、バランス感覚よい仕様になっています。
作者の徹底した皮肉と露悪に満ちた姿勢、個人的に大好物です。

その上、派手なアクション死闘シーンや驚きのどんでん返しなど、山にあたる場面を詰めるだけ詰め込んでいるのにごちゃごちゃとくどくならず、読者を飽きさせない流れるような展開にしているのが、素晴らしい。
話の転がせ方が新人離れしていて巧いので、多少ご都合主義的な部分があっても気にならないんですねー。

ただ、残虐・猟奇描写や虐待描写がいろいろヒドイので、手放しで人に勧められないのが残念。
あと、この人を喰ったようなタイトル・・・読む気をあまり起こさせないので、損してますよね。

(2015年3月読了)
いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
中山 七里

宝島社 2014-01-09

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★★★

ショパンコンクールに出場するためにポーランドに向かった岬は、コンクール会場で刑事が殺されるという事件に遭遇する。
事件を操っているのは、「ピアニスト」と呼ばれる世界的テロリストらしい。
持ち前の鋭い推理力で、「ピアニスト」の正体を突き止めようとする岬は…。

前作と同様、ピアノ演奏シーンの迫力ある描写が圧巻。

ショパンコンクールのファイナリストたちのピアノ演奏描写が延々と続くのですが、それぞれの個性的な演奏を活字に起こすという難易度の高い作業を奇跡的に成功させており、飽きることなく読んでしまいました。

舞台全体に等しく配られる視線が全能感を感じさせてくれるので、とっても心地よいのです。
演奏を四方八方からあまたず眺め尽くした気分になり、読み終える頃にはそれだけでおなかいっぱい、ミステリ部分がどうでもよくなるくらいでした。

スピード感あふれるスリリングな展開で、最後まで飽きさせず読ませてしまう筆力は素晴らしい。
お見事でした。

(2015年2月読了)
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プロフィール
HN:
sis
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趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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