忍者ブログ
豚がつづる読書ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



★★★★

「ランチのアッコちゃん」の続編。
アッコちゃんこと黒川敦子女史がメインで登場する前半2篇と、カメオ出演程度にちらっと登場する後半2篇という構成の連作短篇集。

正直、前作の「ランチのアッコちゃん」の内容を忘れかけていたので、この本の最初のうちはライトなお仕事小説だな、と思いながら読み進めました。
いま流行の、「恋も仕事も全力投球、仕事を通じて最後には何かを得ることのできるスイーツ成長小説!」ってやつでしょ、って。舐めてました。すいません。

お仕事小説という印象は変わらないのですが、アッコさんの想いがしみじみと沁みこんでくる滋味に富んだお話でした。

わたしが印象に残ったのは、「メトロのアッコちゃん」というお話。

ブラック企業に勤める主人公・明海は心身ともに限界。
地下鉄のジューススタンドの店員のアッコさんに毎日強引に野菜のスムージーを渡されます。
最初は嫌がっていた明海ですが、スムージーを飲むことで、少しずつ自分を取り戻していくのです。

スムージーを毎日飲んだからって、人生はいきなり変わらない。
そんなことはわかってます。そんなんでうまく行くんなら、ファンタジーです。
アッコさんもそのことをはっきり言ってくれます。
「朝食をちゃんと食べたからって、人生は変わらない。そんなもの自己満足で、誰かに評価されるわけでもない。
でもどうせ仕事をしなきゃいけないんだったら、誰かの役に立ちたいの」
そうなんですよね、と大きく頷きました。
誰かの役に立ちたい、そこに仕事の意味を見出してもいい。
誰かの役に立つことで自分が救われるなら、それでもいい。
偽善とか欺瞞だって言われてもいい。そういうやつは言わせておけばいいのです!
なーんて、目頭が熱くなってしまいました。

不全感で縮んだ自我を肯定してゆく過程を描く、女性が共感できるお話ばかりでした。
働く女性にお勧めの1冊です。

(2017年12月読了)
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新TB
プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析

Copyright © [ 豚は無慈悲な夜の女王 ] All rights reserved.
Special Template : 忍者ブログ de テンプレート
Special Thanks : 忍者ブログ
Commercial message : [PR]