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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上) (新潮文庫) 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上) (新潮文庫)
増田 俊也

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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下) (新潮文庫) 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(下) (新潮文庫)
増田 俊也

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上巻★★★
下巻★★★★

不世出の柔道家、木村政彦の忘れられた生涯を書いた評伝。
木村政彦の生涯を丁寧に描きつつ、戦前から戦後にかけての柔道史、総合格闘技やプロレス界の歴史も紐解き、その知られざる真実についてつまびらかにしていく。

上巻は、師匠の牛島の鬼の指導の下で猛練習を重ね、天覧試合を制し日本最強の柔道家になり、そして戦後、プロ柔道に参加し海外へ活躍の場を求めるまでが描かれています。
下巻はブラジルでのグレイシーとの伝説の戦いを経て、帰国してプロレスに転向し、「昭和の巌流島」と言われた力道山との試合とその後の生について語られていきます。

柔道もプロレスも全く興味が無かったので、木村政彦の名や柔道の歴史等々、初めて知ることばかり。
そんな自分でも心を掴まれ、むさぼるように一気に読んでしまう骨太のノンフィクションでした。

上巻は猛練習と試合の描写が執拗に続き、どれだけ木村が強かったのか繰り返し強調され、少し単調に感じてしまいました。
が、その執拗な描写が生きてくるのは下巻に入ってから。

上巻の冗長的な説明があるからこそ、力道山との対戦時の木村の立ち位置や周辺の状況、その試合が彼にとってどのような意味を持ち、そしてその後の人生にどう影響したのか、見えてくるんですね。

「力道山に負けた男」として、75歳までの「余生」を生きた木村。
柔道の試合に臨む際は負けたら死ぬことを覚悟していたという木村が、どのような気持ちでその後の生を生きたのか、作者の筆によって克明にあぶり出されていきます。

木村の汚名返上のため、資料収集と取材に18年もの歳月を費やしたという作者の執拗で真摯な姿勢に圧倒されるばかりでした。

(2014年10月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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