[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
恋文の技術 (ポプラ文庫) 森見 登美彦 ポプラ社 2011-04-06 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★
京都の大学から能登半島のクラゲ研究の実験所に飛ばされた大学院生、守田一郎。
僻地での無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住んでいるかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
友人の恋の相談にのったり、先輩の女帝に戦いを挑んだり、作家としたデビューした先輩の森見登美彦氏に恋文の技術の伝授を頼んだり・・・彼の悪戦苦闘は、ここに始まった!
すべて手紙だけで構成されている書簡体小説。
しかも守田一郎が一方的に送りつける手紙だけが並べられているのですが、いろんな相手に書かれるその内容から、起こった出来事や人間関係を類推することができます。
森見ワールドのいつものごとく、今回もへなちょこ非モテ理系男子が空回りしながら周りを巻き込んで疾走しまくります。
この守田という男、相手によって手紙の内容を書き分け、同じ出来事を自分に都合よく内容を粉飾させたり、詭弁妄言を繰り返したり。
強き者には卑屈になり、後輩や家庭教師をした少年には偉そうに説教したり、ネガティブオーラ満載の、非常に面倒くさい男。
でも、迫りくる就職に怯え、ほのかな思いを抱いている女性への手紙を何度も失敗し続けていることがわかるあたりから、なんとなく愛らしく思えてくるから不思議です。
終盤、恋文の技術について一つの結論に達し、一皮むけた守田。
大文字からたくさんの赤い風船を放つという、青春の終わりを予感させる、幻想的で静謐なエンディングが素晴らしい。
思いもかけず(笑)、前向きな気分になりました。
大塚女史との京都と能登をまたにかけたバトルが、一番面白かった!
(2013年6月読了)
ペンギン・ハイウェイ 森見 登美彦 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-29 売り上げランキング : 10168 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
小学4年生のアオヤマ君たちの住む郊外の新興住宅地に、突如ペンギンの集団が現れた。
この事件に仲良しの歯科医院のお姉さんが関わっていることを知ったアオヤマ君は、友達とともにその謎を研究することにした―。
小学生らしからぬ勤勉さと賢さを備えたアオヤマ君の言動は、なんともおかしい。
それなのに、夜は眠くなって寝ちゃうところや、おっぱいに異常な執着を示すところがかわいい。
周囲の少年少女たちとの掛け合いも楽しく、読んでるうちに、彼らと夏休みの大冒険を追体験した気分になる。
父の示唆に富んだ助言に導かれ、少年は真実を知り、大人の階段を登る。
彼に与えられた命題はシンプルだけど難しく、読後に切なさとほろ苦さが残る。
日常とファンタジーが融合したようなふわふわとした読み心地で、面白かった。
(2012年2月読了)
祇園祭の宵山を舞台にしたオムニバス短編集。
同じ宵山のお話でも、いつものヘタレ大学生のユーモラスな話もあれば、静かな幻想奇譚もあり。
異界と現し世を自在に行き交い、読み手を迷宮へ誘う極上の語り。
現実の宵山ともう一つの宵山の世界が重なり合い、取り込んでしまおうとばかりに迫ってきます。
森見ワールドに幻惑させられ、脳ミソがぐらんぐらんしちゃいました。
(2010年12月読了)
★★★★
純文学風の静かなホラー奇談といった趣きなので、
思わず表紙を見かえして作者名を確認してしまった。
いつもの「京都を舞台にした妄想系恋愛小説」ではないのでひどく新鮮でした。
「何だ、普通の小説も書けるんだ・・・」みたいな。
勿論、テイストは違えど、読者を幻惑させる力を持っている芸達者な作者の引き出しの多さに感心したのですが、やはり「普通すぎるなあ」という感は否めず、純粋に小説としての面白みを感じる事が出来なかったかも。勿体無い。
(2010年6月読了)クリスマスに自分を振った水尾さんを、「研究対象」と名づけて付けまわすあぶない主人公。京大を自主休学中。
彼の周りには、小心でシャイゆえに自分を傷つけないように自己正当化をはかり、わざとおかしな詭弁を振りかざす連中ばかり。
そんな仲間達と大真面目にけったいなことをやらかす、男汁溢れるお話。
ダメ男達を描く作者の筆致はなんとも愛おしげで、微苦笑を誘う。
ひたすら無益なことに精力と時間を注ぐ大学時代が、無性に懐かしくなりました。
(2009年5月読了)
11 | 2024/12 | 01 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 | 31 |
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。