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豚がつづる読書ブログ
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★★★★

「無人島で三十数人の男と、女一人の漂流生活」というあらすじを見た時に、ちょっとトゥーマッチな設定だなあと思ったのですが、これ、実話を元にしたお話らしいですね。
まさに事実は小説より奇なり。

人間の悪意を描いたら天下一品のキリノ節が今回も炸裂しています。
痛さをこれでもかとてんこ盛り。
ただ一人の女性が女盛りをそろそろ過ぎた小太りの46歳という、絶妙で意地悪な設定も桐野さんらしい。

憎しみの連鎖が加速し、新たな事件や死を招いていく。
極限状態でむき出しにされた人間の醜悪でお下品な様が綿々と語られ、自分も同じ状況下なら登場人物たちの誰かになりうるというリアリティを持って迫ってくる。

一人きりの女性は最初は崇拝され、やがて異物として男性から排除されていくというのもリアル。

ろくでもないワタナベの造形は秀逸で、この物語には必須のキャラだと思います。
最後は力業という感じでいただけないけど、だからといって他にどんな畳み方があったのか…。

(2009年5月読了)
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★★★★

記憶を失ったギンジと宮古島出身の昭光の出会いから始まる、魂の漂流記。

自分探し宗教、家庭崩壊、偽装請負、ネット心中などの陰惨な社会的疲弊てんこもり。
今は安穏と生きている自分と、ギンジの絶望世界とは薄皮一枚隔てているにすぎないと慄然とさせられる。

キリノさんは人間の悪意や嫉妬心をあぶり出していくのがうまい。
誰もが抱えるそれを鼻先に突きつけられ、思わず目が離せなくなりどんどんページを繰ってしまう。
誰もがその汚感情から逃れることはできないと痛感させられる。

ひりつくような現実感覚は癖になる。

(2007年9月読了)
★★★★★5つ!

質は人と共に生きなおすことによって、自分を取り巻く世界を広いと感じることができた。
しかし、自分に拘泥する有子は自分自身を世界の果てから真っ只中に据えることができない。

留学先で「壊れた」有子が己の性を武器に戦ってゆくさまは陰鬱だが共感を覚えた。

一筋縄にはいかない展開が、現実世界のようで生々しい。

要所要所にあらわれる、玉蘭の馥郁とした香りをかいだ気がした。

(2007年2月読了)
★★★★

女性の悪意や妬みてんこもりの短編集。

女なら誰でも思い当たる節のあるどろどろの感情をしつこく描き、凡庸な読後感を抱かせない。

読んだらきっと今までかいたことの無い汗を流すことでしょう。

(2006年6月読了)
★★★

作者デビュー前の中篇だが、不安感や人間関係の不協和音を描く手腕はすでに発揮されている。

長編にふくらませて、謎解きを盛り込めばもっと面白くなった気がする。

(2006年2月読了)
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プロフィール
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sis
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非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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