「ドリームバスター4」宮部 みゆき

★★★

時間鉱山に迷いこんだ3巻のお話の続き。

それぞれの登場人物の歩みを丁寧に写し取る、いつもの宮部節に引き込まれる。
彼らの選択の間違いも全て丸抱えにするような、登場人物たちへの眼差しは暖かで、読んでいるこちら側としてはひとりひとりに寄り添いたくなってくる。

まだまだ謎の伏線は回収されていないので、シェン達の今後がますます気になります。

早く次が出るといいな。

(2008年10月読了）

「名もなき毒」宮部みゆき

★★★★★5つ！

人の悪意、土壌汚染の毒、文字通りの毒など、日常に遭遇する毒に侵された人々の物語。

その毒をより多く抱えた登場人物の原田いずみが印象的。
主軸の殺人事件よりも、原田いずみが起こす事件に目が釘付け。

生まれながらの嘘つきで、私を誉めてワタシを認めてと孤独の真ん中でアイを叫ぶ怪物めいた犯罪者・原田いずみ。
そんな人間を、理解ができない怪物というよりは、人より欲望が少し大きいために自分や他人に厳しくなってしまう「普通」の人間として立体的に描いてあるのがリアルで興味深かった。

周囲に似たような人がいるので、いずみの家族の気持ちにかなりシンクロした。
そんな人間が増えたのは時代の要請で、家族や家庭環境のせいではないという描写に慰められた。。

塀の中で、初めて熱心に自分の話を聞いてくれる刑事に出会うことで安寧を手に入れた彼女。
（刑事は取調べで話を聞いてるだけなんだけど）
寒気がする。

(2007年7月読了）

「 ドリームバスター (3)」宮部 みゆき

★★★

悪夢を退治するドリームバスター、シェンと師匠のマエストロの活躍を描くSFファンタジー第３巻。

内容は、４巻への前哨戦といった感じで踊り場的な話ですが、舞台となる世界観や「時間」に対する考え方に視点が当てられていて興味深いです。

続きがとても気になるラストで、モヤモヤが残ります。。
次巻、早く出てほしい～。

（2006年11月読了）