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豚がつづる読書ブログ
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ようこそ、わが家へ (小学館文庫) ようこそ、わが家へ (小学館文庫)
池井戸 潤

小学館 2013-07-05

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★★★

ある平凡なサラリーマンの倉田が駅のホームで割り込み乗車の男を注意した。
それ以来、男の執拗ないやがらせが始まり倉田一家はストーカーとの対決を決意する。
一方、出向先の会社で倉田はある不正に気付くが・・・。

どこにでもいそうな気弱な中年の倉田が、会社と日常のトラブルを抱えて右往左往。
最初は倉田の凡庸性の中に滲み出るおかしみを楽しみましたが、中盤以降は彼のキャラクターと踏ん張りに、がんばれ!と応援したくなりました。

日常の中に存在する恐怖を効果的に配置していくやり方が実に巧みで、悪というものは必ずしも悪意に満ちた外見を持たずに近づいてくるものだよね、と読んでいて思わず実感。

人間って怖いなと感じる一方、倉田にはトラブルに一緒に立ち向かう家族や仲間の絆があって、素直に良かったねえと思っちゃいました。

(2015年3月読了)
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連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫) 連続殺人鬼 カエル男 (宝島社文庫)
中山 七里

宝島社 2011-02-04

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★★★★

入居者の少ないマンションで発見された、口にフックを掛けられ吊るされた女性の全裸死体。
傍らには、子どもが書いたような稚拙な文章の犯行声明文が残されていた。
証拠がほとんど残されておらず警察の捜査が難航する中、第二・第三の事件が起こり街中は恐怖と混乱に陥った―。

面白かった!

エンタメ性抜群。
刑法39条問題や群集パニック心理、警察批判まで幅広い社会の構造問題を下敷きとしていますが、それらに深く踏み込まず、エンタメ性に専念してるのが凄いです。
書く方としてはそういう問題を追及してしまうと筆が滑りがちになり、結果、ミステリとしての主題がブレたり無駄に読み口が重くなったりして読みにくくなっちゃうと思うのですが、この作品は処女作なのにそんなこともなく、バランス感覚よい仕様になっています。
作者の徹底した皮肉と露悪に満ちた姿勢、個人的に大好物です。

その上、派手なアクション死闘シーンや驚きのどんでん返しなど、山にあたる場面を詰めるだけ詰め込んでいるのにごちゃごちゃとくどくならず、読者を飽きさせない流れるような展開にしているのが、素晴らしい。
話の転がせ方が新人離れしていて巧いので、多少ご都合主義的な部分があっても気にならないんですねー。

ただ、残虐・猟奇描写や虐待描写がいろいろヒドイので、手放しで人に勧められないのが残念。
あと、この人を喰ったようなタイトル・・・読む気をあまり起こさせないので、損してますよね。

(2015年3月読了)
半可心中 濱次お役者双六 (講談社文庫) 半可心中 濱次お役者双六 (講談社文庫)
田牧 大和

講談社 2014-04-15

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★★★★

森田座の看板役者・紀十郎が新作芝居の相手役に濱次を大抜擢。
しかし出世欲のない濱次には荷が重く、逃げ足したくなるばかり。
そんな折、偶然助けた心中未遂の娘に心を乱され、濱次は役に集中できず絶不調。
役者として迎えた正念場、濱次は乗り切ることが出来るのか―。

濱次お役者双六シリーズ四作目。
四作目にして、とうとう濱次が役者双六のマスを進めてくれました。

今一つ役をつかみきれない濱次は、今まで避けていた苦手な「人情」にも真正面から取り組み、与えられた役を自分のものにしていきます。

私は幽霊の初代香風さんの力を何かしら借りて役者として成長していくのかと予想していたのですが・・・、こんな正攻法なやり方で一皮むけていくとは。
でも、オーソドックスな展開でしたがすごく読ませてくれました。

濱次が触れる、市井の女性達の繊細な感情の移り変わり。
愛するがゆえに身を引く女心も、恋に恋する娘の現実的な折り合いもちゃんと描かれ、濱次が浮世の人情を自分の中で咀嚼し演技に昇華させていく様子は、作品により精彩を与えていたと思います。

今回はミステリというよりも芝居の描写中心で、作者の本領発揮という感じでした。
これからも濱次の成長に寄り添って読んでいきたいシリーズです。

(2015年3月読了)
ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫) ヒア・カムズ・ザ・サン (新潮文庫)
有川 浩

新潮社 2013-09-28

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★★

幼い頃から触れたものに残る記憶が見えてしまう編集者の古川真也。
ある日、同僚のカオルの父親が20年ぶりに帰国することになった。
再会に立ち会った古川には、父親の話とは違う光景が見えた・・・。

著者の小説と、小説を原作とした舞台に着想を得て執筆されたパラレル小説の二編が収録されています。
二編はそれぞれ父親のキャラクターが違うのですが、パラレル小説の方の情けない父親の方が人間くさくて私は好きでした。

でも、なんていうのかな、手癖で書いてる気がしました。
感動するポイントがたくさんあったと思うのですが、いかにもここは泣き所だよと感動の押し売りをされているようで、あまり心に響きませんでした。

捻くれものの自分には、素直でまっとうすぎるところが合いませんでした・・・。すいません。

(2015年2月読了)
営繕かるかや怪異譚 営繕かるかや怪異譚
小野 不由美

KADOKAWA/角川書店 2014-12-01

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★★★

疎遠だった叔母から古い町屋を相続した祥子。
不自然に封じられた奥座敷の襖は何度閉めても、いつの間にか開いている。
奥座敷から出ようともがく「何か」がいる――。
住居にまつわる怪異や障りを営繕屋の尾端が鮮やかに修繕する、全6篇の短編集。

古い家で起こるさまざまな怪異を描いたホラーですが、血なまぐさいおどろおどろしさは無いので怖いのが苦手な方も大丈夫。

どのお話にも出てくる日本家屋の薄暗い闇にひそむ「何か」には不安をかきたてられますが、怖ろしげな描写は抑えめで、肩すかしをくらうくらいあっさりとした感じ。

最初はさっぱりとしすぎていて物足りなさを感じてしまったのですが、 そのくどさのない静謐さに惹かれました。

歴史のある古い家には澱が溜まり、やがては何かが住み着いてしまう。
それは避けられないことなので、排除することなく怪異と人間のお互いの領域を侵さず住み分けて共存していこうとする・・・そんな姿勢が、リアリティがあって面白かったです。

以前の作品の「ゴーストハント」のように怪異を退治するのではなく、霊能者ではないただの営繕屋が解決に導いてくれるのが、また良いです。

読後にふわっとした優しい気持ちになれる、極上のお話でした。

(2015年2月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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