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豚がつづる読書ブログ
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マツリカ・マハリタ (角川文庫) マツリカ・マハリタ (角川文庫)
相沢 沙呼

KADOKAWA/角川書店 2016-08-25

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★★★

学校近くの廃墟ビルに住みつき、望遠鏡で学校を観察している謎の美少女・マツリカ。

彼女に命じられ、高校生の柴山は学校の怪談を調べていた。
『一年生のりかこさん』という、過去に飛び降り自殺をしたという少女の霊にまつわる噂を追いかけるうちに、柴山はある真実に辿り着く・・・。

前作同様、学校の怪談を調べていく中で出会う「日常の謎」をマツリカと柴山が解決するという話の流れになっています。

謎自体は小粒で、何気ない謎なのですが、真相には誰かのままならない思いがつまっていて、それが明らかになるたびにどうしようもない切ない気持ちに駆られました。
他人を羨む自信の無い自分に自己嫌悪を感じたり、楽しそうな周囲に入っていけず疎外感や引け目を感じたり。
そんな葛藤や逡巡は誰もが覚える感情だと思いますが、読んでいて胸が締め付けられました。

また、傷つきたくないあまりに他人と距離を置いてしまう自意識過剰な柴山が、謎の真相につまった誰かの気持ちに触れるたびに少しずつ変わっていきます。
自分が周囲に受け入れられていると感じたり、他人も同じような孤独や悩みを抱えているんだと理解できると、おのずと自分から心を開いて他人を受け入れるようになるんですね。
そうなると友人と呼べる人間関係が彼の周りにできるようになって、逆にマツリカの存在感が前作よりも弱くなりました。
マツリカは虚像めいていて、柴山の妄想というか、孤独の象徴をあらわしているので、柴山に友人ができると造形が薄くなるんですね。
しかも、今までマツリカに助けられるばかりだった柴山が、最後の章ではマツリカを助ける側となり、彼の成長がより明確なものとなりました。
柴山の成長と相反するマツリカの存在意義。
そんな二人の関係がどうなっていくのか、次作が楽しみです。

相変わらず柴山の性的妄想描写がねちっこくて気持ち悪かったですが・・・それを煽りまくるマツリカさんもどうなんでしょう。
女性に嫌われるタイプの女性なのかなあ。読んでいてあまりいい気持ちはしないよね。

(2018年5月読了)
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キャロリング (幻冬舎文庫) キャロリング (幻冬舎文庫)
有川 浩

幻冬舎 2017-12-06

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★★★

子供服メーカー「エンジェル・メーカー」はクリスマスに倒産することになり、子供服事業の傍ら手がけていた学童保育も同時に閉じることになった。
一方、学童に通う小学生の航平の親は別居中で離婚寸前。
航平の気持ちにほだされ、エンジェル・メーカーの社員で元恋人同士である柊子と大和は、航平の父母の仲を取り持つ画策に協力することになる。
はたして、クリスマスに奇跡が起きるのか――。

久しぶりに有川さんの作品を読みましたが、前と変わらず読みやすく安定感がありました。
クリスマスに向かって突き進む物語展開はテンポ良く、するする読めちゃいます。
完璧な悪人が一人も出てこず、どのキャラにも感情移入できました。
登場人物の誰もが、それぞれの事情を抱え、叶わぬ願いを背負い葛藤している様子に胸が熱くなります。

両親の不和に傷つく子どもの描写は切なく、胸がつまりました。
人間関係のすれ違いやままならない状況にもめげず、目の前のことを一生懸命に取り組んでいくしかないのよね。
価値観の違う他人同士でも、柔軟にお互いを受け入れ、相手に寄り添っていけば幸せに近づいていけるのかな…なんて、当たり前のことすぎて書いてて恥ずかしいですけど、多分そうなんでしょう。

闇金融の取立て屋の人物像にリアリティが無さすぎるし、ご都合主義の展開に物足りなさを感じる部分もありましたが、おおむね面白かったです。

(2018年4月読了)
お引っ越し (角川文庫) お引っ越し (角川文庫)
真梨 幸子

KADOKAWA 2017-11-25

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★★★

引越しをテーマにした連作ホラー短編集。

コンビニにある実話系怪談雑誌に書いてありそうな話をふくらませて小説にした印象。
悪く言えばありがちな話だけど、ありがちさのディティールを積み重ねることによってリアルさがより増長され、夜中に読んだら非常に怖かったです。

ホラーテイストが強く、いつもの真梨幸子のイヤミス小説とはまた別の怖さに満ちています。

避難口(非常扉)に入ると中からは出られないとか、隣人の騒音を通報したら報復にあったとか、本当に経験するかも、と誰もが感じてしまう恐怖の煽りのテクニックが巧み。
登場人物たちは脈絡も無くいきなり(もしくはじわじわと)恐怖のどん底に落とされるのですが、「理由も無く」「避けられない」っていう点がほんと怖いんだよねえ。

ダイナミックやカタルシスを楽しむという観点からはほど遠い小説ですが、ちょこっと現実から逃避したい時にお勧めです。

(2018年4月読了)
メイン・ディッシュ (集英社文庫) メイン・ディッシュ (集英社文庫)
北森 鴻

集英社 2002-03-01

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★★★

ある雪の日、劇団女優のユリエはミケさんという男と出会い、一緒に暮らし始めた。
プロ顔負けの料理の腕を持っているミケさんは、劇団が遭遇する事件も見事に解決に導いていく。
しかし、過去を明かさない彼には誰にも言えない秘密があった。
ミケさんこと三津池修とは何者なのか――。

連作短編集ですが、二つのストーリーが交互に語られるうちに中盤で絡み合い、一つの本流の謎へとつながっていく…その展開にもまた二重三重の仕掛けが施され、最後まで気を抜けませんでした。

登場人物たちも、みんな魅力的でした。
おいしそうな料理を作りながら飄々と推理をしてみせるミケさんの佇まいも素敵。
サバサバした性格のユリエも好感が持てました。
男性作家が描く女性はステレオタイプが多いので違和感を感じるのですが、ユリエの人物像はリアルで親しみがもてます。
劇団の座付き作家の小杉も、いい味出してましたねー。
毎回、的外れの推理を披露するピエロの役割を担っているのですが、愛嬌があって何か憎めない。
核心を突いた推理をするかと思ったらいきなり突飛な方向にいっちゃって大きくはずしたりとか。
彼が一番魅力的かもしれない。
梁山泊のような劇団のわちゃわちゃした雰囲気も良いし、いつまでも読んでいたい、終わりが来るのが寂しいと思わせてくれました。

ただ、長編としては構成も凝っているしストーリーのメリハリもあって面白く感じるのですが、各短編の謎解きには首を傾げてしまうものもありました。
辻褄合わせというか、説得力に欠ける無理矢理な推理もあって、「有り無しでいえば無しかな・・・」って感じ。
そこが少し残念です。

(2018年5月読了)
首折り男のための協奏曲 (新潮文庫) 首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)
伊坂 幸太郎

新潮社 2016-11-28

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★★★

「首折り男の周辺」、「濡れ衣の話」、「僕の舟」、「人間らしく」、「月曜日から逃げろ」、「相談役の話」、「合コンの話」の7編を収めた連作短編集。

他の伊坂作品にも出てくる泥棒の黒澤と、殺し屋・首折り男がいくつかの短編に登場しますが、趣向もテーマもばらばらで、全編を通した完成度はあまり高くないように思いました。
あとがきによると最初から連作を想定していたわけではないようで、並べてみたら結果的に緩い繋がりができたということのようです。
なので、伏線回収の気持ちよさもカタルシスも無く、SF的な仕掛けもどこか消化不良感を残すだけで必要性が感じられず。

面白かったのは、「月曜日から逃げろ」。
構成がトリッキーで、読み終えた後にもう一度再読しました。

伊坂作品にしては珍しい恋愛話「僕の舟」。
ちょっと出来すぎな気がしましたが、たまにはこんな温かみのある話もいいかも。

切ない復讐話「濡れ衣の話」、ホラーだけどなんか笑える「相談役の話」も結構好き。

「合コンの話」は構成が実験的すぎてスベっている気がするし、テーマをそのまま文章中にがっつり書いてるのがダサい。
もうちょっとうまく処理した方がいいと思いました。
テクニックが空回ってる感がします。

(2018年4月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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