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★★★
恩田さんの小説や漫画についての書評、エッセイ集。
常に物語が「物語られる」不穏な気配に耳をすましている作者の思索を辿ることができる。
少し大げさで偏った作者の意見が気持ちいい。
「藪の中」の考察が面白かった。
(2011年8月読了)
★★★
高校時代の課外授業で知り合い、同じ大学に進んだ三人の男女。
大人になった三人が大学時代の事を振り返る。
自分が何者でもなかった大学時代をとりとめもなく思い返し、分岐点だった人との別れや、生きる核となるようなものを、ぼんやりと切り取っている。
ストーリーらしきものはないけど、そのぼんやり具合がまさに大学時代だったなあと、何となく共感できる。
作中の、「別れるために出会ったのね」という映画のセリフ。
大学の卒業式で「さよならだけが人生だ!」と言い放った教授のことを思い出しました。
(2011年7月読了)
塔と水路のある町で発見された男の死体。
一年前に東京で失踪していた彼は、なぜここで殺されたのか?
彼の死をめぐって、錯綜してゆく人間関係と謎。
恩田陸曰く、「これは私の集大成です」 。
同じ事件でも視点によって印象が違う点や、不安定な少年少女、閉鎖的な共同体の記憶といったテーマは「六番目の小夜子」「ユージニア」「球形の季節」に通ずるものがあり、確かに集大成っぽい感じです。
いつもの恩田作品のように、噂や都市伝説をたたみかけるように重ねてゆき、「何か起こるらしい」という不穏なイメージをぎりぎりまで増幅させてゆく。
ひとつの奇想を構築し、独特の世界観を展開させていく手腕は手慣れたもので、流れにまかせて読み進めていくと心地よいです。
大風呂敷を広げに広げ、結末は…いつもの恩田ワールドです。
(2010年4月読了)
★★★
事故死した映画監督の取材で山中の洋館を訪れた記者。
過去の事件の謎も加わり、何かを知っている遺族達と訪問者の駆け引き。
不気味な警告文や見知らぬ男の死体。
はたして「訪問者」とはいったい誰なのか?
読んでいくうちに謎が雪だるま式に増え、ページを繰る手が止められない。
いつものような曖昧な結末だったらどうしようかと思ったが、案外すっきりした終わりで安心。
それはそれで恩田さんらしくないというか…複雑な気分でした。
(2010年2月読了)
★★★
恩田陸が構築した不可思議な世界にくらくら。
恩田作品は曖昧な終わり方をするものが多いですが、今回は比較的明確なオチを提示してくれたので安心して読めました。
物語の吸引力や、読み手の予想をかわして思わぬところに着地してみせてくれる手腕は、もう名人芸の域に達していると思います。
読後、主人公の周りで次々と不思議現象が起きるのは本人の歪みがそれを引き寄せているのではないか…と思ってしまい、背筋がゾッとしました。
(2009年11月読了)03 | 2025/04 | 05 |
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大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。