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豚がつづる読書ブログ
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ランチのアッコちゃん (双葉文庫) ランチのアッコちゃん (双葉文庫)
柚木 麻子

双葉社 2015-02-12

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★★★

何もかもうまくいかず、行き詰まりを感じている派遣社員の三智子。
そんな彼女に、一週間お互いのランチを交換しようと提案する敏腕上司の「アッコ女史」こと黒川部長。
渋々受け入れた三智子ですが、その後の一週間は驚きの連続で、いつの間にかランチタイムが楽しみになってきて・・・。

軽妙洒脱な4つのお話が入った短編集。
アッコちゃんのお話は最初の2篇だけなのですが、後の2篇にもアッコちゃんはチラチラ出てきます。

悩む女性の会社員が食事を通して自分のこれからを思索し、一歩前へ踏み出していく・・・という、まあこれだけのお話なんですが、歯切れのよい会話とテンポよく進んでいく語り口で、肩の力を抜いて読めました。

仕事も恋愛も歯車が合わず空回りしてしまう気持ちがよーくわかるので、感情移入しつつ、登場人物たちの微妙な心の襞を開いていく過程を味わうことができました。

ご都合主義的展開もたくさんありましたが、そこは気にさせない勢いがありましたねー。
変化を恐れず常に走っていこうという、今の時代に合った内容なのでこの本は良く売れたのかなーと思います。

爽やかな読後感に満足の一冊でした。

(2016年6月読了)
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先生のお庭番 (徳間文庫) 先生のお庭番 (徳間文庫)
朝井 まかて

徳間書店 2014-06-06

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★★★


修行中の庭師・熊吉は、長崎の出島への奉公を命じられ、シーボルトの元で薬草園の園丁を勤めることになる。
初めての仕事にとまどう熊吉だったが、工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げていく。
シーボルトや愛妾のお滝、黒人の使用人おるそんの信頼を得、熊吉は幸福な日々を送っていたが、シーボルトの帰国が決まってからその日常は少しずつ陰りを見せ始めた・・・。

シーボルトを題材にした小説は数多くありますが、このお話は15歳の園丁の視点から描かれています。
使用人の目から見るシーボルトと歴史的事件というものを生き生きと描いており、とても新鮮でした。

圧巻なのは、美しい自然の情景を写し取った芳醇な描写。

最初は共通点の無さそうなシーボルトと熊吉が、自然の美しさを通して気持ちを通じ合わせるのも素敵。
日本の植物の美しさを愛で、それを世界に伝えようとするシーボルトと、その思いに報いようと努力する熊吉には希望を感じさせてくれました。
同時に二人にはお互い理解のできない、越えられない壁があることもわかってくるのが切ないです。
日本人にとって自然は共生するものであるけども、欧米人のシーボルトにとっては自然はねじ伏せ、支配する対象であるという自然観の齟齬が悩ましい。
そこらへんの描写がとてもうまくて、印象的でした。
両者のズレとか溝が広がり、シーボルト事件につながっていくという流れがなめらかでした。

終盤の、シーボルトの娘の以祢と熊吉の邂逅は忘れがたいものがありました。
暖かい気持ちでページを閉じることができたのでほっとしました。

(2016年5月読了)
下町ロケット (小学館文庫) 下町ロケット (小学館文庫)
池井戸 潤

小学館 2013-12-26

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★★★★

かつてロケット開発に関わっていたが打ち上げ失敗の責任を負って会社を辞め、実家の中小企業を継いだ佃航平。
しかし大企業による突然の取引停止に苦しめられるだけではなく、特許侵害で訴えられ、佃製作所は倒産の危機に瀕していた。

面白かった!!
大企業を相手に中小企業の佃製作所が死力を尽くして戦っていくというオーソドックスな勧善懲悪ストーリーですが、手に汗握る展開にとんでもなく胸が熱くなりました。

今回のお話は「特許」が軸となっていますが、知的財産権という分野はわたしは全くの無知だったので知らないことがいっぱいでした。
せっかくの知的財産を有効に活用しないと、他社から悪質な侵害を受け、訴えられたら社会的信用を失い資金繰りにも困るとか…勉強になりました。

様々な立場の者たちの思惑や権謀術数に巻き込まれつつも、佃社長が理詰めと情でそれらをねじ伏せていくさまはまさに痛快。

大企業から高額の特許譲渡を迫られたとき、ものづくり魂に燃えた佃は自社生産による部品提供を望むのですが、社内の反対に合います。
そのとき、愚直な佃と経理部長の意地と情熱に周囲は揺さぶられ、賛同していく様子が説得力を伴って描かれています。
やはり、人を動かすものは給料や安定よりも仕事に「夢」を感じさせてくれる情熱なのでしょうか。

理想を理想で終わらせないために、たゆまない努力を重ねる佃社長と周辺の人々の姿には涙が止まりませんでした。

(2016年6月読了)
桃ノ木坂互助会 (徳間文庫) 桃ノ木坂互助会 (徳間文庫)
川瀬 七緒

徳間書店 2016-01-07

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★★★

新しく桃ノ木坂町に越してきた住民たちによるトラブルや町の平穏を乱す行動に悩む桃ノ木坂互助会(老人会)の会長・光太郎。
元海自曹長でもある彼は、町に害を及ぼす住民たちを仲間たちとともにあらゆる手を使って町から追放するため、暗躍している。
次のターゲットは、大家とトラブルを起こしていた男、武藤。しかし自分たち以外にも武藤を狙っている存在があることに気付き・・・。

最初は老人たちの世直し隊の勧善懲悪モノかなーと思いきや、読み進めていくと第三者が参戦し、三つ巴のサスペンスめいた様相を呈す展開に。
話の着地点が見えず、どうなっちゃうんだろう??とページを繰る手が駆り立てられました。

終盤で予想もつかない展開に。
隠されていた秘密は物語をよりスリリングにして、読み手を混乱の渦に導いてくれました。
それでいて読後感は悪くなく、何となく清涼感を味わえる作者の手腕は素晴らしいと思います!

(2016年8月読了)
君の膵臓をたべたい 君の膵臓をたべたい
住野 よる

双葉社 2015-06-17

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★★★

主人公の「僕」は他人と深く関わろうとしない孤独を好む高校生。
そんな彼が病院でノートを拾ったことからクラスメイトの咲良と関わることになる。
ノートには咲良が膵臓の病気を患い余命が長くないことが書かれており、その日から「僕」が咲良に振り回される日々がはじまった。

ライトな語り口で軽妙に交わされる会話がラノベっぽくて慣れなかったのですが、案外このノリが良かったです。
書きようによっては深刻で暗い話になるところを、このライトさが救っていてテンポよくお話が進んでいきます。

病気のことを家族以外の他人には明かしていない咲良にとっては、わざとらしく同情を寄せたりしない「僕」にはどんどん信頼をおくようになり、「僕」も「僕」で、華やかな咲良は苦手だけども少しずつ自分の領域に入ってくる彼女を無視もできず意識してしまい・・・という、なんとも不思議で微妙な関係性がたまらなくツボです。

そして、二人に訪れる意外な結末。
彼らの気持ちが通じ合い、成長をもたらすという点ではハッピーエンドだと思いました。

人は計らずともいろんな人との関わりの中で生きているのだというラストの情景が秀逸。
新しい世界へ若者が飛び立っていく姿は清々しく、感動的です。

(2016年6月読了)
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プロフィール
HN:
sis
性別:
非公開
趣味:
読書
自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。

大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。

コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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