豚がつづる読書ブログ
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先生のお庭番 (徳間文庫) 朝井 まかて 徳間書店 2014-06-06 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★
修行中の庭師・熊吉は、長崎の出島への奉公を命じられ、シーボルトの元で薬草園の園丁を勤めることになる。
初めての仕事にとまどう熊吉だったが、工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げていく。
シーボルトや愛妾のお滝、黒人の使用人おるそんの信頼を得、熊吉は幸福な日々を送っていたが、シーボルトの帰国が決まってからその日常は少しずつ陰りを見せ始めた・・・。
シーボルトを題材にした小説は数多くありますが、このお話は15歳の園丁の視点から描かれています。
使用人の目から見るシーボルトと歴史的事件というものを生き生きと描いており、とても新鮮でした。
圧巻なのは、美しい自然の情景を写し取った芳醇な描写。
最初は共通点の無さそうなシーボルトと熊吉が、自然の美しさを通して気持ちを通じ合わせるのも素敵。
日本の植物の美しさを愛で、それを世界に伝えようとするシーボルトと、その思いに報いようと努力する熊吉には希望を感じさせてくれました。
同時に二人にはお互い理解のできない、越えられない壁があることもわかってくるのが切ないです。
日本人にとって自然は共生するものであるけども、欧米人のシーボルトにとっては自然はねじ伏せ、支配する対象であるという自然観の齟齬が悩ましい。
そこらへんの描写がとてもうまくて、印象的でした。
両者のズレとか溝が広がり、シーボルト事件につながっていくという流れがなめらかでした。
終盤の、シーボルトの娘の以祢と熊吉の邂逅は忘れがたいものがありました。
暖かい気持ちでページを閉じることができたのでほっとしました。
(2016年5月読了)
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自己紹介:
読むのがすごく遅いけど、小さい頃から本を読むのが大好き。
大好きな作家は、ジョン・アーヴィング、筒井康隆、津原泰水、中上健次、桐野夏生、北村薫、金井美恵子、梨木果歩。
コンプリート中なのは宮部みゆき、恩田陸、松尾由美、三浦しをん、桐野夏生、北村薫。今のところ、多分著作は全部読んでいます。
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